手記より日記。


 8時過ぎに退勤し、本屋へ。

 まずは、この2日間複数のコンビニで売切れてしまっていて手に入れられなかった『週刊現代』をやっと入手。この号は秋葉原事件関係の手記が掲載されていたためか足が早く、すぐに棚から消えてしまっていたのだ。


 古本屋を挟んでもう1軒本屋へ。探しているある新書を見つけられずに代わりにこれも探していた文庫を1冊買う。

近代日本文学案内 (岩波文庫)

近代日本文学案内 (岩波文庫)


 しばらく前から評判を聞いていて気になっていたのだが、いつもの本屋で売切れしまっていたため、再入荷を待っていたのだ。やっと出会えた。


 バスで志ん朝真田小僧」を聴きながら帰宅するとポストに古書現世目録『逍遥』82号が届いていた。今回は徳川夢声が充実しているなあ。早速4冊ほどピックアップしてメールで注文を出す。


 『週刊現代』からは、独占手記ではなく読書日記を。東川端さんは富士の裾野にかつてあったサティアンの跡地を探す小旅行をした話から日記を始めている。サリン事件の翌日に消毒液の匂い漂う日比谷線に乗って実家へと帰って行ったことを思い出す。もし、実家への帰省を一日早めていたら僕もあの惨劇の中にいたのかもしれないというこれまで何度か頭に浮かべた思いをもう一度噛み締めながら、東川端さんが耳を澄ませた、片隅で小さな声で語る人々の本の話にこちらも聞き耳をたてる。今回の前菜はメインのような充実ぶり。洲之内徹丸山眞男西村賢太藤澤清造ナンシー関という名前の連なりを追うだけで心和む。7回忌を迎えるナンシー関の声に僕らは今でもよろこんで耳を傾けるのだ。もちろん洲之内徹の声をもっと身近な文庫で聴きたいと思っている者は少なくないだろう。
 メインの4冊で持っているのは戸川昌士「古本パンチ」だけ。多くのスペースが割かれている萩原延壽についてはほぼなにも知らないに等しい。以前にブックオフで買った「遠い崖」の文庫が1冊あるだけだ。その背を追うべき人のリストに入れておくことにしよう。