文庫化矢のごとし。

 
 退勤後の本屋でふらふらとこの本をレジへ持っていってしまう。

やうやう 永作博美

やうやう 永作博美


 先日の朝、めざましTVを観ていたら、永作博美インタビューが流れてきて、この本の紹介と彼女が長年思いついた言葉を書き込んだ何冊もの手帳が紹介されていた。
 そして、「休日には2時間から3時間は本屋にいる」というコメントと「広辞苑を読むのが好き」という思いがけない一言。「読むんですか?」という問いに「読む」とはっきり。


 こういうコメントやフレーズに弱いのですね、わたくし。それに最近妙にバタバタしていて気が弱くなっているため、普段なら手に取ることはあっても買うことはまず考えられないこの本をレジへ持っていってしまったわけです。薄い本なので値段も見ずに差し出したら、予想の倍近い金額がレジのディスプレイに表示されて「あっ」と思った時はすでに遅し。この金額で自分が買うべき本は他にあったような気がしてしまう。


 バス待ちでぱらぱら眺めてみる。インタビューの印象では、短いフレーズのよく言えば箴言集風のものを予測していたのだが、思ったよりマイポエムに近いものが並んでいてちょっと困る。


 鼻ヒゲを描いた彼女のポートレイトは悪くはないのだが。


 女優・永作博美への期待をより強くする。


 帰宅して、ポストに入っていた「出版ダイジェスト 白水社の本棚」に目を通す。「再読愛読」というコラムにジュンク堂の田口久美子さんが須賀敦子さんとの思い出を書いている。晩年の須賀さんと話す機会をもった田口さんが別れ際に若い人にどんな本を薦めるかと聞くと「アンナ・カレーニナ」と答えたとのこと。小説のお手本のような本なのだそうだ。「アンナ・カレーニナ」は確か村上春樹作品の登場人物が読んでいた気がする。僕はまだ読んでいない。


 「文学鶴亀」は「旧刊十二番勝負」の途中まで。


 ブログ散歩で4月のみすず書房の新刊に田中眞澄「ふるほん行脚」が予定されていることを知る。PR誌『みすず』に連載されているものの単行本化だ。前からまとめて読みたいと思っていたのでこれは楽しみ。


 4月の新刊文庫をチェック。

 
 これを見つけてショックを受ける。新刊時に読もうと思って単行本を買っていたのにもう文庫で出てしまうのか。文庫化は時の流れの速さを教えてくれる。
 まさに文庫化矢のごとし。