霜とは名ばかりの氷塊。

 しっかり睡眠をとって目覚める。


 寝床の中で録画しておいたNHKアーカイブス直木賞の決まる日」を観る。直木賞決定の日の候補者の様子とインタビューで構成されたドキュメンタリー。阿久悠、つかこうへい、中山千夏深田祐介高柳芳夫岩川隆という6人が候補になり、結局受賞者なしで終わってしまう。深田祐介氏の耳の後ろのハネた髪の毛とインタビュアーの女性プロデューサーがなぜかつかこうへい氏に対してだけは妙に馴れ馴れしい口調なのが気になる。


 昼過ぎに家を出て浅草に向かう。松屋で行われている古本まつりに行こうというわけだ。今日の携帯本は北村薫宮部みゆき「名短篇、ここにあり」(ちくま文庫)。半村良「となりの宇宙人」、黒井千次「冷たい仕事」、小松左京「むかしばなし」、城山三郎「隠し芸の男」を読む。「冷たい仕事」で冷蔵庫の霜とりに熱中する男たちの姿を読みながら、わが家の冷蔵庫の中で日々巨大化していく霜とは名ばかりの氷塊を思い出す。あれをなんとかしないとそのうちタイタニックにぶつかってしまうかも。


 松屋に到着。7階の催事場にエスカレーターであがるのだが、ほぼ各階ごとにエスカレーターの場所がちがっている感じなのでまごついてしまう。


 会場に到着し棚を一回りする。場所柄か演芸ものや江戸東京ものが多いような印象。それと美空ひばり関連もいろいろな店の棚で見かける。2冊購入。

 前者は「文学部をめぐる病い」の影響から。後者は小林信彦氏が褒める映画研究者・森卓也氏の著作を一度読んでみたかったから。


 松屋前のずいぶんと古色蒼然とした地下鉄入口の階段を下りると、左手に地下街があり、これがまた何とも言えない浅草だなあと思わせる雰囲気の場所。場末という言葉がしっくりとくる空間。


 地下鉄で銀座へ出る。


 伊東屋アップルストア、山野楽器で買物。
 グリルスイスで元祖カツカレー。休日は煉瓦亭が休みなのでここでカツカレーを食べる確立が高くなる。


 教文館旭屋書店を覗く。ともに銀座有楽町で大好きな本屋だ。それぞれ新刊棚が充実している。後者で仕事関係の本を1冊買い、『波』1月号を貰う。


 帰りの電車でも「名短篇、ここにあり」から吉村昭「少女架刑」を読む。70ページと収録作品では一番長い。16歳で死んだ少女が親に遺体を売られ、体を切り刻まれていく。脳までとられ、骨だけになっても見たり感じたりすることをやめない「私」の語りを聞いていると、だんだんと不思議な感覚になってくる。


 地元に戻り、駅ビルの家電量販店でUSBメモリを買い、伊藤園で職場で飲むお茶3種類を購入してから帰宅。


 テレビをつけると「ヤッターマン」が30年ぶりに復活している。ドロンジョ、トンズラー、ボヤッキーの声がまったく前と同じなのはうれしい。


 持ち帰りの仕事をしてからブログ散歩。


 キヨスク東京新聞を買い忘れたが、岡崎武志さんが書いた塩山芳明「東京の暴れん坊」(右文書院)の書評はネットで読むことができた。


 今日山野楽器で貰ってきた「落語研究会 古今亭志ん朝全集 上」のチラシによると収録作品は以下の通り。
(1)文七元結、火焔太鼓
(2)五人廻し、百年目
(3)二番煎じ、ぬけ雀、四段目
(4)大工調べ、宿屋の富、浜野矩随
(5)愛宕山酢豆腐三方一両損
(6)寝床、鰻の幇間、夢金
(7)大山詣り、子別れ・下、品川心中
(8)反魂香、口入屋、井戸の茶碗

 全集の下は今年の秋に出るそうだ。