卒業写真という鍵。


 仕事を終えて本屋へ。

  • 野村麻里編「作家の別腹 文豪の愛した東京・あの味」(知恵の森文庫)

 新潮文庫の新刊にも惹かれるものがあったのだが、今日はこちらにする。口絵の一番前に載っている吉田健一氏が通ったという銀座の“そば所よし田”のコロッケソバを今度食べに行こうと思う。


 帰宅後、宅配便の不在通知が。すぐに電話を掛けて持ってきてもらう。日曜に買ったスーツが届いたのだ。
 早速試着してみる。よし、このスーツにあのシャツとタイを合わせてなどと思うが、明日は雨。卸したてのスーツを着ていくには向かない日だ。気持ちがちょっと沈む。


 実家の母親から電話。昨日依頼した僕の昔の写真や卒業アルバムを送ってくれたとのこと。ちょっと、ある件で自分の昔の写真が必要になったのだ。その手のものを実家にすべて残して一人暮らしを初めてもう20年近い。それらにどのような写真があったかもおぼろげである。着くのが楽しみなようなこわいような。なんとなく筒井康隆氏の「鍵」という短篇を思い出す。卒業写真があんな風に思い出したくない記憶の扉を開けてしまう鍵にならなければいいのだが。


 携帯本として持ち歩いていた黒川鍾信「神楽坂ホン書き旅館」(新潮文庫)の残りを一気に読む。