僕はりんごと図録が好き。


 勤労感謝の日だが、休日出勤。


 外へ出ると風が強く、雲一つない乾燥した晴天。まるで正月の朝のようだ。


 寒風に翻弄されるかのような野外仕事を終えて、昼過ぎに職場を後にする。
 電車に飛び乗り、京王線芦花公園に向かう。以前から行きたいと思っていた“植草甚一/マイ・フェイヴァリット・シングス展”が25日で終わってしまうので世田谷文学館を目指しているというわけだ。


 世田谷文学館に来るのは随分前に行われた沢木耕太郎展以来となる。事前にHPで確認してはあったのだが、受付で確認するとやはり図録は完売していた。“増刷の予定はありません”という貼り紙が冷たく貼り出されている。たしかどこかのブログでこの展示の図録が書店で売っていたという記述を読んだことを思い出し、受付の女性に尋ねてみると三省堂本店にのみ卸しており、数日前にまだ数冊残っているという連絡を受けたとのこと。後で三省堂に確認の電話をすることにして、まずは展示を。


 知人にあてた手紙や年賀状を見ると植草甚一という人が、いかにヴィジュアル的なセンスを持っていた人かということが分かる。また、フォトジェニックな人だけに展示のあちこちに飾られている写真がみないい写真ばかりだ。
 ジャズ評論家でもあった氏らしく、ジャズのLPを展示したコーナーもあり、ミュージシャンのサイン入り(ミンガスなど)のものなどが飾られている。LPレコードのジャケットの大きさに目を奪われる。このサイズだからデザインも写真も映えるのだ。


 外へ出て三省堂本店に電話。幸運にもまだ残部があるとのことなので取り置きをお願いする。当初の予定ではこれから中央線沿線の古本屋散歩をするつもりであったのだが、急遽神保町へ変更する。
 芦花公園駅へ戻る道にあった“蘆花庵”というそば屋で遅い昼食。カツ丼とたぬきうどんのセットを食べる。うどんがよかった。


 車中読書は、「東大生は何を読んできたか」を読み終えて、黒川鍾信「神楽坂ホン書き旅館」(新潮文庫)にチェンジ。


 神保町に到着し、すずらん通りを三省堂方面へ歩き始めるとアクセスの前へ。店内には灯がついているが人影はなし。空になった本棚が寂しく並んでいる。店頭のワゴンに“ご自由にお持ちください”というような貼り紙があり、『Lmagazine』や『雲のうえ』の他に、数冊の本やミニコミなどが置いてあった。ムダの会発行「いける本・いけない本」という小冊子を1冊貰ってくる。


 三省堂へ行き、“植草甚一/マイ・フェイヴァリット・シングス展”の図録を入手。うれしい。
 その後、悠久堂で新刊で買い逃していたこれを。

万太郎・松太郎・正太郎―東京生まれの文士たち

万太郎・松太郎・正太郎―東京生まれの文士たち


 コミガレを覗いていると珈琲のいい香りが。それに誘われて神田伯刺西爾でひと休み。図録に目を通す。


 ディスクユニオンアン・サリー嬢も参加しているこちらを購入。
 

Apple of our eye りんごの子守唄(白盤)

Apple of our eye りんごの子守唄(白盤)






 その後、日本特価書籍を覗くが、欲しい新刊がことごとく見当たらない。何も買わずに出る。


 中央線沿線に繰り出そうかとも思ったのだが、寒いのと風邪気味なのとで諦めて帰る。


 帰宅して買ってきた「りんごの子守唄 Apple of our eye」を聴く。アン嬢は1曲目の「Love」で細野晴臣氏と、10曲目の「Here Today」で蔡忠浩氏とデュエットしている。


 【今日の洲之内徹

  • おそろしい散歩(「人魚を見た人」)

 洲之内さんが人形町付近に住んでいるという話から、鼠小僧の話になり、佐藤春夫の「美しい町」へと繋がっていく。