色あせた世界。


 いつものように職場へ行き、いつものように本屋に寄ってから帰宅。



 今日、ここ数年自分の中で大事に育ててきたものが、パチンと小さな音を立てて弾けた。
 恥ずかしい言い方をすれば、それは僕の希望であり、ささやかなプライドのようなものであった。
 それが弾けた後に、いつもの見慣れた風景から色彩が薄れた。ああ、自分の世界というものはたったこれだけのものだったのだと実感した。
 不思議と動揺はなかった。それは以前にも体験したことのあるものであったからだろう。前の時は、世界から一切の色彩が失われて見えた。今は色が薄く感じられるだけに過ぎない。また、世界に少しずつ色を取り戻していくよう辛抱強く日々を過ごして行けばいいだけだ。
 とりあえず、この色あせた世界が今の僕のすべてなのだから。


 さっきまでテレビで「ターミネーター3」を観ていたため、なんだかエンディングの語りの調子が文章に入ってしまったようだ。なんだかな。