「なぜ毛皮のコートを着てママチャリに乗るのか」。


 先日買ったスーツを着て職場へ。それだけで少し気分が高揚する。単純にできているのだ。


 夜8時に退勤するまで、誰一人僕の新しいスーツに目をとめる人はいなかった。誰も自分の服装のことなど気にしていないということを実感。なんだか気が抜けると同時にほっとしたような気分。


 退勤後、本屋へ。店頭のワゴンに辰巳渚「なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか 」(光文社)が平積みされているのを見る。
 この題名を見てある人を思い出す。僕が毎日職場へと下っていく坂を同じ時間に自転車で上ってくる男性がいる。この人の服装は白とグレーがまだらになった毛皮のコート、その下にはストライプのダブルのスーツ、足下にはエナメルの靴というようにどう見てもベンツに乗っているのが順当な服装の人なのだが、なぜか安っぽいママチャリを漕いで、オールバックにした四角い顔をまぶしげにゆがめながら坂の上の駅を目指して行くのだ。「なぜ毛皮のコートを着てママチャリに乗るのか」それが謎だな。


 帰宅後、本日の古典入門として田中本から「伊曾保物語」の章を読んでから、「ロング・グッドバイ」の25,26、27章を読む。なんだかぶつ切りの読書しかできない。


 隣りの部屋に行き、外市一箱用の本を物色。池波正太郎鬼平犯科帳料理本2冊、晶文社の本1冊など総計7冊をピックアップする。
 今日見つけたのはすべて単行本。なんだか全体的に文庫本が少ない気がする。やはり品物も値段も手頃なものが好まれる一箱古本市においてはもう少し文庫の量が必要だと思う。明日は文庫を中心にせめてみるか。


 今日の探索で、新たな古典入門本を見つける。

 さがせばまだまだありそう。このままでは入門書ばかり読む永遠の入門者になってしまいそう。