空耳シャワー。


 職場をしばらく病気休養していた女性の同僚が復帰してくる。挨拶をすると「あら、前よりカッコよくなりましたね」と言われる。本人は何も変わっておらず、以前に会った時よりひとつ歳をとっただけなのだが。たぶん、今日は新しいシャツとネクタイをしていったのでいつもよりは服装がシャンとしていたんでしょうね。でも、褒められるというのは根拠がなくともうれしいものだと再確認。やっぱり人は褒めるに限ります。


 退勤後、本屋へ。
 雑誌コーナーで『WiLL』5月号を立ち読み。yomunelさんご推薦の向井透史さんの「早稲田古本劇場」だけ読んで買わずにお茶を濁そうと思っていたのだが、最初の2段落くらいを読んだ段階でこれは流し読みではなく、ゆっくり読みたい文章だと思い、やっぱりレジへ。


 帰宅後、「早稲田古本劇場」を読む。2カ月に一度古本を売る飛鳥山のお得意さんと千円のオマケをしてしまう向井さんとビニ本おじさんというファクターがチンチン電車都電荒川線)という存在によってひとつに結びついていく。後味のいい文章だ。


 同じく連載から日垣隆「どっからでもかかって来い!」と高田文夫「大衆芸能小僧」を読む。
 日垣さんはお得意さんのみずほ銀行相手に鮮やかに一本勝ち。ついでにプロ意識のないダスキンの掃除にも喝を入れる。
 高田さんは立川談春志らくのお二人を取り上げている。17歳で入門して来た談春さんをカラオケに連れていったら内藤国夫「おゆき」を歌ったというのがすごいというのかおかしい。


 今日の古典入門は「検定絶対不合格教科書 古文」から「伊勢物語」を読む。安吾が「文学のふるさと」で紹介していた第六段「芥川」だ。“足ずり”の説明を読んでなるほどと思う。たしかに地団駄を踏むのでは原文の雰囲気に合わないよな。


 今日も風呂で「ハナ肇クレージー・キャッツ」のベスト盤を聴く。「スーダラ節」、「ホンダラ行進曲」、「遺憾に存じます」、「ショボクレ人生」、「だまって俺について来い」、「ゴマスリ行進曲」などが浴室に響いている。「ゴマスリ行進曲」の間奏で植木等さんは“褒めて、褒めて、褒めまくれ!”と言っていたと思うのだが、いまもう一度聴き直してみるとそんなこと言ってないや。昼間褒められた記憶がそんな空耳を生んだのか、それともシャワーの音がそんなありもしないセリフとして聴き取れたのだろうか。謎。