もっと光を。


今日からフリーなのでぐっすり寝てから起床。

風呂で聴く落語を決めようとCDブックの「八代目桂文楽全集」を見てみる。「芝浜」は黒門町のレパートリーにはないらしく入っていない。インタビューを中心にまとめた第十集に「子ほめ」、「小言幸兵衛」、「品川心中」の抜粋がおさめられているのに気づき、これにする。「子ほめ」は戦地の兵隊に送るためのレコードへ吹き込んだものらしい。子供をほめる言葉の中に「こんなに大きいから末は立派な兵隊さんになる」というような表現が出て来る。


遅まきながら部屋の片付け・清掃を始めるが、溜まった新聞と雑誌をゴミに出せるように袋に入れてまとめるだけでてんてこ舞い。しかもまとめたところで年内のゴミ収集は終わっているのだから、年明けまでゴミはこのまま居座りつづけることになるのだ。

風呂場の掃除をしているとどうも呼び鈴が鳴っている気がする。シャワーを出しながら湯舟を掃除しているので音がよく聞こえないのだ。宅配で新潟の知人から米が届く。佐渡産こしひかり。先日あった時にこの知人が魚沼産のようには知られていないが、佐渡のこしひかりも新潟では評価が高いのだと教えてくれた。ただ、生産量が少ないため全国にはあまり出回っていないとのこと。実家に送って正月休みに炊いてもらうことにしよう。


掃除に一区切りをつけて外出。駅前まで出る。
銀行で今月の家賃を振り込んだ後、本屋へ。

  • 『考える人』2007年冬号
  • 『TITLe』2月号
  • 安田敏朗「『国語』の近代史」(中公新書

『考える人』は特集が“小津安二郎を育てたもの”。
『TITLe』はDVD特集。もちろん小林信彦セレクトの500円DVDのページ目当て。
安田本は日本特価書籍で昨日探したのだが売切れていたため今日こちらで入手。


その後、家電量販店で居間で使う和風の照明器具を買う。今の部屋に越したときから備え付けられていた照明器具に不具合が生じ、この数ヶ月だましだまし使っていたのだが、新年を迎えるにあたって新しいものにかえることにしたのだ。
それにしても、いつもながらこの店は困ったものだなと思う。まず売り場に店員がいない。こちらがレジ付近まで移動し、他の客との話が終わるのを待って声をかけてまた売り場まで戻らなければならない。それに照明器具売り場にいても店内の照明が暗い感じがするのもどうかと思うよ。決定的なのは、目立つところに置いてある僕が選んだ品物が在庫置き場に取りにいって初めて品切れであると分かることだ。せめて品切れの札を貼っておくべきでしょう。結局在庫のある2番目の候補にしたのだが、まあ良かったのはそちらの方が値段が安かったので倹約につながったというところくらいかな。車を持たないので郊外の量販店には行けないため、交通の便がよく買ってすぐにバスに乗れるこの駅ビル内の量販店をつい利用してしまう自分もいけないのだが。


吉野家で牛丼を食べてから帰宅。帰りのバスでは古今亭志ん朝「芝浜」を聴く。三木助版に比べると丁寧に説明を加えている印象を受ける。魚屋の亭主が芝に行く部分を省略して帰って来た本人の口から説明させるカタチにしたのも、それを夢と女房が言いくるめるという設定をより受け入れ易いものにしようとする工夫だろう。


照明を取り替えると部屋が見違えるように明るくなった。それだけでなんだかうれしい。さて、年賀状に取りかかるかと思ったところへ本日2度目の宅配便。昨日神保町で見つけられなかった業田良家新刊をbk1に注文したのがもう届いたのだ。この機会にと気になっていた他のマンガもまとめて注文。

男の操 (上) (BIG COMICS SPECIAL)

男の操 (上) (BIG COMICS SPECIAL)

男の操 下 (2)

男の操 下 (2)

大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)

大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)

芸能グルメストーカー

芸能グルメストーカー


年賀状を後回しにして、まず「自虐の詩」を超えると帯にうたっている「男の操」から読み始める。五木みさおという売れない演歌歌手とその小学生の娘・あわれを中心にみさおの死んだ妻・純子(なぜか生前のビデオがたくさん残されており、まるで生きているように場面に絡んでくる)、芸能プロダクションの社長・深情マリ、みさおに想いを寄せる隣人の万田さんといった人物が織りなす笑いと涙の人間模様が短章を積み重ねる形式で描かれている。これが「自虐の詩」を超える作品かと聞かれれば答えはノーだろうな。業田良家作品として水準はクリアしているけれども、他の作品とくらべて特に図抜けているわけではないと思う。「自虐の詩」と比べたりするのではなく、この作品そのものを楽しめばいいんじゃないかな。


続いて「大阪ハムレット」を読む。これは6話からなる短篇マンガ集。とはいっても2話連続もあれば、第2話の続きが第6話に出て来たり、またある話の登場人物が他の話の脇役で登場したりしているため、全体で一つの作品と思えなくもない作り方。第1話を読んでぐっとひきつけられる。父親が死んですぐ母親がおじさんと暮らし始めた不良少年が、「ハムレットみたいだ」という教師の言葉を聞いてシェイクスピアの「ハムレット」を読む(その結果少年は言った教師をぼこぼこにしてしまう)。まず、なによりこの少年の家庭がいい。なにも気にしていないような母親、なんだか頼りなくウネウネしているみすぼらしげなおじさん、そんな母とおじさんをやさしく受け止めている少年。このヘンテコリンさを自然に受け入れられるように描く作者の腕前に感心した。僕にとってこの人は「少年アシベ」の作者なのだが、へ〜ぇ、こんな作品も書ける人なんだと認識し直した。全6話を燻製を口の中でほぐしたり、吸ったりして味わうように読み終えた。ぼくにとっては西原理恵子ぼくんち」・業田良家自虐の詩」と同じクラスの傑作だな。すなくともさっき読んだ「男の操」よりこちらに心奪われた。“1”とあるから続きも出るのだろう。楽しみ。


夕食後にあわてて年賀状書き。今年は職場での虚礼廃止令が徹底されたため、書かなければいけない年賀状は例年の半分以下になる。そのため今晩からやっても明日には出せるだろう。


今日の4000番代。

ブラック・ファイアー

ブラック・ファイアー


アンドリュー・ヒルのBN初アルバムが4151番。この人のイメージは前衛派といったものなのだが、今回聴き直してみると前衛というほどヘンなことはしていない。フリージャズを経た今の耳では普通に聴こえてしまうのかもしれない。ただ、ところどころセロニアス・モンクを思わせるようなフレーズが耳に入る。なるほど、前衛ではなくてモンクが好きなんだな。