再読者という名探偵。


職場の机の上に見知らぬ本が1冊置いてあった。退職した上司の自費出版本だ。昨年の暮れにも入院日記を自費出版した本を送ってくれたのだが、あれからもう1年か。今回は1983年に中国を旅した旅行記。出版社が昨年の文芸社から新風舎に変わっている。この変更にはなにか理由があるのだろうか。ソフトカバーでちょっと判型の小さい今年の本の方が装幀はいいと思う。前著を興味深く読めたのでこの本にも期待できそうだ。


本屋を覗く。
のだめカンタービレ」が平積みになっている。思わず買って帰ろうかという気になったのだが、何故か2巻だけ売切れていた。1巻を買って読んだら必ず2巻もその日のうちに読みたくなることがわかっているため、買わずに店を出る。


帰りのバスで昨日ダウンロードした京極夏彦立川談春朗読)「姑獲鳥の夏3」を聴く。談春師匠がリズムをつかみ始めたというのか聴いているこちらが慣れて来たというのかスラスラと聴くことができる。
どうやらこのシリーズは7まで続くらしい。1つが1300円だから全部聴くと1万円近い金額だ。原作と朗読者双方に興味があり、この企画そのものを面白がっている僕は、最後まで付き合うつもりなのだが、そうではなく純粋にオーディオブックとして楽しもうとする人にとってこの金額はどうなのだろうか。この手のものが、視覚に障害を持った人の読書欲を満たすためのものでもあるということを考えた時、本を買うことの約10倍という代価を必要とするという状況はやはり困ったものだなと思う。


帰宅後、「不連続殺人事件」を読み継いで読了。すっかり内容を忘れて読み始めたのだが、途中で犯人を思い出してしまう。ちょっと損した気分。再読の読者は作中の名探偵を越える存在になることができる。


その後、丸谷才一鹿島茂三浦雅士「文学全集を立ちあげる」(文藝春秋)を読み始める。とりあえず、こういった本関係の座談は大好きなので、“世界文学全集編”をサクッと読んでしまう。翻訳文学の話となるため、翻訳のよしあしや翻訳家の特徴などの話題が出てくるのが面白い。もっと突っ込んで色々と聞きたくなる。
先日、日記でも書いたイーヴリン・ウォー「ブライヅヘッドふたたび」はあまり評判がよろしくない。丸谷氏に言わせるとナボコフエドモンド・ウィルソンもこの作品には批判的なのだそうだ。そういえば、「本棚の中の骸骨」で来年の岩波文庫小野寺健訳でこの小説が入ることを知る。
同時に戸板康二團十郎切腹事件」(創元推理文庫)の発売が来年1月に延期されていることも知った。もう、好きにしてくださいという感じですね。


夜、bk1で「のだめカンタービレ」全16巻を買ってしまう。少女マンガコーナーに置いてあるこの本を書店で大人買いするのはちょっと恥ずかしいので。


明日、国立で行われる岡崎武志さんの「古本散歩の楽しみ方」に行くつもりなのだが、午後に会議が入ってしまったので、2時には間に合いそうにない。せめて打ち上げには参加させてもらうつもり。


今日の4000番台。

インヴェンションズ&ディメンションズ

インヴェンションズ&ディメンションズ


昨日に引き続きハービー・ハンコックのリーダー作が4147番。ホーン奏者抜きでピアノとベースとドラムとコンガというカルテットでの演奏だ。通常のピアノトリオともひと味違う雰囲気。新しいことをやっていくぞというハンコックの意気込みを感じる作品だ。