幻の屋号。

目覚ましの設定時間より1時間以上前に目が覚めてしまう。
まるで遠足の日の小学生のようだな。


9時15分に根津駅に着き、預けていた箱を受け取って宗善寺に向かう。境内に入ると1人の男性が段ボールを脇において座っていた。“ちくわ文庫”の退屈男さんだ。
そのうちにこの会場に割り振られた15箱の店主さんたちが集まってくる。その中には顔見知りの旅猫さんや岡崎武志さんの姿もあった。大家さんである宗善寺さんがとてもよくしてくださり、机や椅子、それにお茶やおまんじゅうまで用意してくれる。この黒糖饅頭がとてもおいしかった。
開店の11時に向けて箱の用意。もってきた屋号の紙を貼ったり、本を並べたりして準備完了。退屈男さんと岡崎武志さん(岡崎武志堂)にはさまれて“サノシゲ食堂”の開店である。

まず、最初に売れたのは秋山徳蔵「料理のコツ」と有吉佐和子「げいしゃわるつ・いたりあの」という2冊のサノシゲ本。やはり装幀のいいものから売れるなと思う。
段々と人出も多くなり、ブログその他で名前を知っている方の姿もちらほら。店番をしていて四谷書房さん、黒岩比佐子さん、NEGIさんと初めてお会いする。NEGIさんには五木寛之「風に吹かれて」(集英社文庫)をお買い上げいただく。
箱の品物で数多く手に取られながら箱に戻されることが多かったのが、横光利一旅愁」(昭和24年初版)と「おそうざい十二カ月」(暮しの手帖社)だった。前者は同じ宗善寺に出店していた石ころ書房さんがお持ちのサノシゲ本である石垣綾子「女は自由である」(文藝春秋新社)と物々交換する。また、隣の退屈男さんの箱にあった色川武大「ぼうふら漂流記」(新潮文庫)は、こちらの甘糟幸子「野草の料理」(中公文庫)+金銭でトレード。そして、久住昌之「小説中華そば『江ぐち』」(新潮OH!文庫)は岡崎さんにお買い上げいただいた。古書往来座の瀬古さんには、本を買っていただいただけではなく、雑司ヶ谷ラスクまでいただく。西秋書店さんは売れ残っていた“佐野繁次郎クリアファイル”(東京ステーションギャラリー佐野繁次郎展で買った未開封もの)を買ってくださった。みなさん、ありがとうございます。


会場のお助け係の方が、「晩鮭亭というブログをやっている人の箱はどこかとお探しになっている方がいます」と聞いているのが耳に入ったので名乗り出たのだが、聞いた方はすでに会場を後にしていたとのこと。なんだか申し訳ない気がする。また、お客さんから「晩鮭亭さんですか、ブログ読んでます」と声をかけていただいた。やはり、うれしいものですね。
(帰宅してからブログ散歩をしてみると、「とり、本屋さんにゆく」のとりさんが僕を探していらっしゃったことを知る。お手数をかけて申し訳ありません。)

終了間際に雨が降っただけで一日まずまずの好天。48冊持って行った本のうち37点が売れました。お買い上げいただいたみなさまありがとうございました。


6時半から千駄木交流会館で打ち上げの会があり、4名の審査員の決める個人賞や、売り上げ金額と売り上げ点数のベスト3が発表される。


その後、日暮里駅前の居酒屋で行われた打ち上げの飲み会に参加。同じテーブルの塩山さんの毒舌トークをナマで聴く。また、ブログ『「北方人」日記』の盛さんとも初めてお話しさせていただいた。楽しいひと時。


明日の仕事を考えて、途中で失礼する。


ああ、できれば来年のGWの一箱古本市も参加したいものだな。たぶん仕事で無理だろうけど。実はもう次の屋号は決まっているのだが、それは幻となるんだろうか。


【購入できる新刊数=2】