何も変わらない夏。


仕事を終えて、銀行へ。ある必要があって8万円近くを千円札と硬貨に両替する。この作業によって自分の立て替え分が1万円戻ってくる事を知る。よし。


その後眼科へ。ここはいつも混んでいて待たされる。待合室で島村利正の文庫本を読む。「仙酔島」読了。
診察を受け、処方箋を貰い、薬局で薬を入手。


本屋へ。予定外の1万円があるので余裕の表情で2冊選ぶ。

野呂本は前から欲しかった“大人の本棚”シリーズの1冊。10月には小山清「小さな町」が待っている。
江川本はもう惰性ですね。


帰宅後、職場で印刷してきた文書と先程両替してきたお金を封筒に入れる作業を黙々とする。BGMはふちがみとふなと「ヒーのワルツ」。封筒に名前を書き、折った文書に紙幣を挿み、それを入れた封筒に硬貨を放り込んでいく。自分の右手に封筒が段々山をなしていくのを見ながら、まるで銀行振り込みを信用しない頑固な町工場の社長が従業員に配る月給袋の用意をしているような気分だ。テーブルに種類別に並べた100円、50円、10円、5円の硬貨を順番に滑らせながら口を開けた封筒の中に投げ入れていく行為が、続けているうちに滑らかなリズムを刻み出し、回数を重ねるごとに快感になっていく。


封筒の糊付を終えて、読書に移る。川口喬一「昭和初年の『ユリシーズ』」(みすず書房)を読み出す。これは宮田恭子「ジョイスのパリ時代」(みすず書房)をともにこの夏の自分に対する課題図書なのだが、夏が終わろうとしているこの時期になってやっと手を付ける事ができた。8月を残り数日にしてからあわてて宿題にとりかかる学生時代となにも変わらないじゃないか、これじゃ。
日本に初めてジェイムズ・ジョイスを紹介したのが大正7年『學燈』に載った野口米次郎「画家の肖像」という文章である事を知った。


今日の4000番台。


フレディ・ハバードのBN2作目が4056番。オープニングの「エイジアティック・レエズ」がいい。ケニー・ドーハムが作った「ロータス・ブロッサム」の別名。この他にも3曲目がドーハムの曲。参加してないミュージシャンの曲を2曲も使うなんて、ドーハムに対するハバードの敬意が感じられる。