出がけに家を出たところで近所の犬に吠えられる。
6月はそのように始まった。
午後から出張。横浜駅へ。ここからバスに乗って行くのだが、まだ時間があるので有隣堂を覗く。「yomunelの日記」で話題になっていた『装苑』を探すが、女性誌の棚の前には女性のディフェンダーがカテナチオをかけているので近寄ることができない。肩越しに見えた表紙は買う気がなえてしまうような“女性誌オーラ”全開でひるんでしまう。
余裕を持ってバス停に行ったのだが既に20人近くが並んでいるではないか。なんとか座ることができた。これから30分以上かけて陸の孤島にある出張先までバスに揺られて行くのだ。寝て行こうと思ったのだが“急行”をうたうこのバスはやたら急加速と急減速を繰り返し、バス停ではガックンと停車するため寝ていられない。
出張先について、いつもの会議をいつも通り聞き、バスで横浜駅まで帰る。
結局有隣堂でこれを買う。
- 『BRUTUS』6月15日号
“全730冊本特集! 本ラブ。”という本特集。
帰りの電車の中で杉本秀太郎「半日半夜」(講談社文芸文庫)を読んでいると、隣にイヤホンをした若者が座る。イヤホンからかなりの音量でアップテンポの「シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ」が聴こえてきて読書に集中できない。杉本さんのエッセイは音の要素も大きく、京に稀になくヒグラシの響きやフロマンタンの独り旅の孤独を癒したモーツアルトの「フィガロの結婚」を弾くオルガンの音色などの話題にこの機械音はそぐわな過ぎるよ。幸いにも途中駅で降りてくれたため、あとは落ち着いて活字を追うことができた。
帰宅後、『BRUTUS』に目を通す。やはり、坪内祐三さんの「文庫でしか読めない名作散文」に目がいってしまう。
坪内さんが推薦する“文庫本でしか読めない文庫本らしい文庫本十選”が興味深い。
- 安藤鶴夫「ごぶ・ゆるね」(旺文社文庫)
- 植草甚一「植草甚一ジャズ・エッセイ1」(河出文庫)
- 森茉莉「ベスト・オブ・ドッキリ・チャンネル」(ちくま文庫)
- 小林信彦「日本の喜劇人」(新潮文庫)
- 色川武大「寄席放浪記」(廣済堂文庫)
- 山田宏一「シネ・ブラボー」(ケイブンシャ文庫)
- 野坂昭如「雑文の目 1」(ケイブンシャ文庫)
- 亀和田武「1963年のルイジアナ・ママ」(徳間文庫)
- 中野翠「東京風船日記」(新潮文庫)
- 吉田健一「酒肴酒」(光文社文庫)
持っているものはちょうど半分の5冊(どれかはあえて言わない)。持っていない本はこれからの探求本のリストに入れよう。
その後、「半日半夜」読了。ああ、5月が後1日長ければなあ。これで今月の講談社文芸文庫は2冊ノルマが決定した。
思うところあって、本日よりコメント欄を凍結しました。これまで書いていただいたコメントはそのまま読めますが、新しい書き込みはできなくなっています。
この日記を読んで何かコメントをとお考えいただいている方には申し訳ないのですが、しばらくこの状態で続けたいと思いますのでご容赦ください。
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