中央線を北上せよ。

昼過ぎに家を出て職場へ。
休日出勤のつもりはなかったのだが、仕事の件で今日出ていると言っていた同僚に確認したいことがあったので、よってみたのだ。しかし、姿は見えず、メールで連絡をとる。


職場を出て、渋谷・吉祥寺経由で荻窪へ。ささまを覗いてから、阿佐ヶ谷へ移動。風船舎に寄るものの、昼食をとっていないため空腹で我慢できず、高円寺へ出てチョップスティックへ。前回食べたフォーがおいしかったので、今日の昼食はここで食べようと決めていたのだ。狭い市場のような場所にあり、周囲の店がシャッターを下ろしている中で、角煮のフォーを食べていると、まるで一度も行ったことのないハノイにでもいるような気分になる。以前に読んだベトナム紀行の沢木耕太郎「一号線を北上せよ」を思い出す。


ひとごこちついたところで、古本屋回り再開。十五時の犬に入る。


それから、高円寺文庫センターに行き、レジ前に貼ってあった地図で場所を確認した後、茶房高円寺書林に向かう。信愛書店高円寺文庫センターと同系列の書物カフェである。ちょっとしたテラスもある小さな店だが、店内の半分をセレクトされた新刊本が並ぶコーナーにしてある。また、古本も置かれていて、テーブルで飲み物を飲みながら読むこともできるとのこと。椅子に腰掛けようとすると、先に来ていた二人連れから声をかけられる。リコシェの阿部さんだ。阿部さんも今夜のコクテイルでのイベントに行くのだそうだ。もちろん、僕も参加する。
ここで『Lmagazine』の最新号を買い、アイスチャイを飲みながら、山本善行さんの「天声善語」を読む。みやこめっせの古本市での収穫を祈念して、前日に偶然通りかかった幸運の四葉のクローバータクシーにあてもなく乗ってしまうというエピソードに顔がほころぶ。


7時過ぎにコクテイルに到着。すでに岡崎さんは、今日のイベント協力者の“かねこうの”のお二人と打ち合わせ中であった。ウチから持ってきた本をイベントで使ってもらうために岡崎さんへ手渡す。五木寛之「風に吹かれて」(佐野繁次郎装幀の集英社文庫)と同じく佐野繁次郎装幀の酒井伝六「ピラミッド」(学生社)だ。ともにダブリ本であったので、今夜イベントのプレゼントとして「風に吹かれて」が告知されてるのを知り、これも使ってもらおうと思って持ってきたのだ。それに先程読み終えた『Lmagazine』も添える。盟友・山本善行さんの文章が載っているのだから、岡崎さんに貰ってもらうのが一番収まりがいいと思う。


イベントが始まる。“かねこうの”のお二人が50の質問を岡崎さんにぶつけて、それに岡崎さんが答えるという趣向だ。いろいろ興味深い質問とその答えがあったが、例えば“好きな作家を5人挙げろ”に対して「志賀直哉梶井基次郎庄野潤三開高健木山捷平」という岡崎さんの答え。一番最初に影響を受けた文章は志賀直哉だったんですね。そして、会場が一番盛り上がったのは、質問者のかねこさんが「okatakeの日記」から娘さんに対する記述の部分だけプリントアウトしてきた綴りを岡崎さんが朗読したときだ。小学校2年の時に娘さんが岡崎さんに突然「ときわ荘ってまだあるの?」と問いかけるシーンは何とも言えずおかしくて、また感動的ですらある。


楽しい2時間をほどを過ごして店をあとにする。駅への途中で高円寺文庫センターに寄る。

自虐の詩」と同じ四コマ漫画。10年以上前に雑誌に連載されていたものらしい。全然知らなかった。


帰りの電車内で谷崎潤一郎痴人の愛」と「執念の刑事」上巻を読了する。

2冊買って2冊読了なので、現状維持。

【購入できる新刊数=2】