アスパラに塩。

職場でアスパラの到来物があった。


帰り道、TSUTAYAで昨日観たDVDを2枚返し、また2枚借りる。その足で自然食料品店に行き、自然海塩「海の精」と濃厚にがり液「海の調べ」を購入。せっかく旬のアスパラを食べるのだから、食塩などではなく天然の塩で食べてみたい。また、にがりが体とって大切であることを川上信定「本当にうまい朝めしの素」(講談社文庫)で知ったので、これも買っておくことにする。


帰宅し、青々と太いアスパラをざくっと真ん中から二つに切り(そのままでは鍋にはいらない)、沸騰したお湯の中に入れる。サッと色が鮮やかな緑に変わるのが目にうれしい。そこに買ってきた「海の精」を入れて、数分茹でたら出来上がり。水気をきり、皿に盛って上からまた「海の精」をかけていただく。天然の塩のうまみとアスパラの土の香りを含んだ味わいがマッチしてうまい。
別段、自然食志向などではないのだが、やっぱり旬のものを天然の調味料で味わうというのはシンプルだけどたまらなくおいしいものだなと再認識する。


その後、そばつゆににがり液を数滴たらしてそばを食べる。薬味やわさびを入れたつゆなのでにがりを入れた味の変化はよく分からなかった。


食後、今日借りてきたDVDを1枚観る。

小林信彦「おかしな男 渥美清」で渥美さんの評価を高めた作品として紹介されていた映画。一途に思い詰める不器用で気持ちの優しい男を渥美さんが好演している。その主人公の半生を語る役割を担うのが軍隊で同期の長門裕之さん演じる小説家だ。こういっては失礼だが、これまで長門さんをうまい役者だと思ったことはなかった。しかし、この映画ではなかなかの存在感を発揮している。渥美さんに目をかける中隊長役の加藤嘉さんやいじめ役の2年兵・西村晃さんの助演もいい。渥美さんに読み書きを教える1年兵の藤山寛美さんのおさえた演技も印象深い。
最後の千住大橋近くの飲屋街セットがよかった。画面奥に向かって真っ直ぐに伸びた路地を酔った足でよたよたとすすんで行く渥美さん。その先には画面を横断する大通り(国道4号線であろう)が走っている。その通りにさしかかる直前に画面はフェードアウトし、映画も終わる。すでに結末を知らされている観客はその後の語られない場面を想像しながら余韻に浸ることになる。
「拝啓天皇陛下様」という題名から想像するような反戦といった強いメッセージ性はなく、戦争の時代と戦後を生きたひとりの気のいい男の人生がいとおしく描かれている佳作だった。DVDには予告編が収録されており、そこには本編でカットされていた場面が結構出てくるので必見。


映画の後は杉本秀太郎「半日半夜」を少し。読みながら、やたらとのどの渇きをおぼえる。どうやら、調子にのって塩とにがり液をかけすぎたらしい。過ぎたるは及ばざるがごとしか。


【購入できる新刊数=2】