月もまた星である。

退勤後、本屋へ。

最初に入った本屋では、雑誌の平積みコーナーに置いてあり、その前には女性の人垣ができている。そこに分け入るのは、満員の女性専用車両に男一人で乗り込んで行くくらいの勇気が必要だ。たとえ他人から“チキン”と蔑まれようとも、僕にその度胸はない。
もう少し小振りな別の本屋に行って無事に入手した。


帰宅後、『ku:nel』に目を通す。ちょうど真ん中当たりにある[ごろりでゆるり]欄で故山本夏彦氏が取り上げられている。昨日読んだ「同時代も歴史である」の中で「山本夏彦の『ホルモン、ホルモン』」という章を読んだばかりだったのでタイムリーだ。紹介記事の中に息子の山本伊吾さんのコメントやその著書「夏彦の影法師」(新潮社)が紹介されている。この本は坪内さんも褒めていたものだ。確か買っておいたはずなのだが、最近一度も家で見ていないな。どこにもぐり込んでしまったのだろう。探しておかなければ。
『室内』編集部内の山本夏彦氏の机の写真が載っている。その机上には使い込まれた「広辞苑」と「岩波国語辞典」が置かれていた。「私の岩波物語」の著者が岩波の辞書を愛用していたというところが面白い。


読みかけだった久世光彦「百閒先生月を踏む」をまた読み出す。睡眠不足で頭がぼうっとしてきたので、中断してテレビをつけてみると芸人2人がそれぞれプロに指導を受けてアルトサックスで「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」を演奏して対決するという番組をやっていた。短い練習期間にしては2人ともなかなか巧く演奏しているので感心する。ホンモノのジャズミュージシャンによる演奏を聴きたいと思い探してみるが同じ曲を演奏しているアルバムが見当たらず、代わりにこれを聴く。

「月に飛ぶ想い」はないが、2曲目には「星への階段」が入っている。仕方ない、月もまた星である。


本日読了本はなく、現状維持。

【購入できる新刊数=2】