本好きではだめですか?

不思議な天候の一日。
職場で写真を貰う。楽しくもないのになぜだか笑っている自分の姿を見出し、すぐに元の封筒に戻す。
今日はゆっくり自分の仕事ができるはずであったが、会議後、嵐のように急な仕事が舞い込み、それに振り回されて、気がつけばガス欠。退勤する。


昨日確認した同僚の依頼本を買いに地元のサブカル系古本屋に。依頼本の他に自分用としてこれを買う。

先日読んだ小林信彦「にっちもさっちも」で長部日出雄氏がこの本が《いかに正確で貴重か》を力説していたとう記述があったのを思い出し、500円で購入。
会計をしながら、レジ横のアルバイト募集の張り紙を見る。“洋楽の好きな方募集”だって。古本屋のバイトが、本好きではだめですか?


新刊書店で、学生時代によく買っていたこの雑誌を久し振りに手にする。

  • 國文學 解釈と鑑賞の研究』5月号

特集が“戦争と文学”。目次を見たら、梅崎春生夫人が「幻化」や「桜島」について語った対談や「神聖喜劇」についての大西巨人氏へのインタビューが載っている。おっと思ってよくよく見れば、恩師・曽根博義先生の「十二月八日−−真珠湾−−知識人と戦争」が掲載されているではないか。思い起こせば大学の先生の講義でその当時刊行されたばかりの伊藤整「太平洋戦争日記」の昭和16年12月8日の記述に見えるナショナリズムに弾んだ作家の姿をどのように捉えればいいのかと思案顔で話されていた先生の姿が今でもありありと浮かんでくる。
その他、西原和海「満洲における弘報メディア−満鉄弘報課と『満洲グラフ』のことなど」や佐藤健二「『新聞文学』と『戦争文学』」などが面白そう。
レジで『本の話』5月号を貰う。


バス待ちで『本の話』から池内恵×坪内祐三「いつも本だけがあった」を読む。これは池内氏の「書物の運命」刊行記念の対談だ。1973年生まれなのに、テレビもゲームも知らず、ひたすら活字の世界で育ってきた池内紀氏の息子さんが、澁澤龍彦ボルヘスを経て中東域研究者になっていくという経歴の面白さ。志賀直哉小僧の神様」の描写に絶対的な何かを見、『朝日ジャーナル』連載の田中康夫「ファディッシュ考現学」に夢中になったというこの池内氏に興味がわく。「書物の運命」を読んでみたくなった。これも坪内さんの術中にハマったというところか。


帰宅後、ブログ散歩。「古書現世店番日記」で林哲夫さんの「daily sumus」がブログ化したことを知る。早速、アンテナに登録。これまでは月ごと(最近は月三回)にアンテナ登録が無効になるような設定だったので、泣く泣く登録を見送っていたのだ。これで楽しみが増えた。
ところで、山本善行さんの「古本泣き笑い日記」はどうなったのだろう。

【購入できる新刊数=6】