幸福な王子。

今日も職場の机周りの整理をする。余分な事務用品などを今年入った新人さんにいろいろあげる。あげるものがなくなったので、退勤。
本屋へ。

  • 『考える人』2006年春号

坪内祐三さんの連載が最終回。最後を飾るのは福田恆存氏だ。堀江敏幸氏の短篇が読めるかと思ったら、特集“直して使う”にグラビアでの登場。今も使っているというマッキントッシュSE/30が机の上に。あまりにも堀江さんのイメージにハマり過ぎでおかしいくらい。
棚をあちこちと見ていると、大学1年生と思われる女の子2人の会話が聴こえてくる。

「受験が終わってから、けっこう時間があったから家にある本を全部読んじゃって読む本がないんだ」

ああ、そんな牧歌的な日々はもう僕にはない。追われるようにして店をあとにする。


帰宅して『週刊文春』の小林信彦「本音を申せば」に目を通すと、村上春樹生原稿流失事件を話題に。安原顯氏に関する不快な思い出と自分の原稿も流失したという事件があったことを語っている。そして、この件について書く気になったのが『一冊の本』で《〈ジャズ評論家〉という人がこの〈一種の盗み〉の報道について朝日新聞に文句をつけている》ことを知ったためらしい。僕も『一冊の本』を読んだので、この《ジャズ評論家》が安原顯氏と親交のあった寺島靖国氏であることがわかる。寺島氏は安原氏の行為と認めた上で、やんちゃな友人の許せる愚行として語っているが、当事者の作家側から言えば冗談じゃないということになるだろう。人間的には嫌なヤツであったと言われるスタン・ゲッツの音楽を愛するように、寺島氏が人間・ヤスケンを愛するのは構わないのだが、その行為まで正当化してしまうのはどうかと思う。


その後『考える人』の坪内連載を読む。この連載は、たぶん新潮社からちょっと大判で写真のたくさん入った本として出版されることだろう。再読するのが楽しみだ。他にも、一部屋古本市でおじゃました作業場で本の修繕をする内澤旬子さんの写真や、春になると母親と同い年の職場の先輩に花見に連れて行ってもらった国際文化会館の写真を楽しく眺める。次号の『考える人』は“戦後日本の「考える人」百人百冊”だそうだ。


卑弥呼」は第5章、391ページまで読み終わる。


【購入できる新刊数=4】