神保町ダブルヘッダー。

本日は、11時まで職場で仕事をした後、出張する。出張先には1時30分につけばいいので、昼食を食べに神保町で下車。しかし、ちょうど正午過ぎという時間が災いし、頭に描いていたキッチン南海、さぼうる2などは軒並み店の前に列ができているではないか。比較的空いている揚子江菜館に入り、相席でジャージャー麺を食べる。
出張を終えた夕方にゆっくり回るつもりなのだが、新刊書店はいいとして、古書店は閉まってしまう恐れがあるため、ざっと流す。
八木書店の店頭で篠田一士「三田の詩人たち」の親本(小沢書店刊)がまだあるのを確認したり、タテキンで坂田寛夫「庄野潤三ノート」を手に取ったりしたのだが、これから出張先に行くことを考えて自重する。
出張先は、大手新聞社。仕事に先立ち、社内を案内してもらう。社会科見学の小学生に混じって地下の最新型印刷機が夕刊の最終版を印刷する様子を見る。刷り上がったばかりの夕刊を1部貰った。一面は“ライブドア 粉飾指示”。触れば手に文字がうつりそうなほど瑞々しい。最近の新聞は環境を考えて油を使わない大豆のインクで印刷されているのだそうだ。できあがった新聞が束にされてベルトコンベアーで運ばれるフロアに行くと、テレビで見かける女子アナが撮影をしている現場に遭遇する。撮影のためライトアップされているせいもあるのだろうが、ブラウン管で見るより数段美しく見える。ジャイアンツの高橋由伸との関係はどうなったのだろうか、などと余計なことを考えたりして。
編成局では、みんなヒューザーの小嶋社長の証人喚問の国会中継を見つめていた。
その後、新聞社の方の話を聞いたり、本日の主目的である会議をしたりして5時過ぎに仕事が終わる。帰りに何故か新聞社から図書カードを貰う。うれしい。
急いで、神保町に戻る。まずは書肆アクセスへ。
『ifeel』の最新号があれば入手しようと思っていたのだが、見当たらず。その代わりこれを見つけてしまう。

これはそのうちに買うつもりで今日の購入リストには入れていなかったのだが、平積みの本の上に“サイン本”の札が置かれていたためふらふらと手が出てしまったのだ。そのほか、地元で入手できなかったこのムックも購入。

この2つを持って喫茶ブラジルへ。『散歩の達人』を眺めながら、アメリブレンドとシフォンケーキを味わう。ここのシフォンケーキはシンプルで美味しい。アーモンドスライスをトッピングしたクリームにからめていただく。
大森望×豊崎由美「東京小説メッタ褒め20冊」を読んでいると、大森さんが広瀬正「マイナスゼロ」を《個人的には日本SFオールタイムベストワンです》と褒めている。これはずっと気になっている積ん読本。読まなくては。
また、秋本治×なぎら建壱対談で秋本氏が選んだ中に川本三郎編「昭和30年東京ベルエポック」(岩波書店)が入っている。これは僕の大好きな東京写真集。トロリーバスの流線型の車体にうっとりとしてしまう。
日本特価書籍でまたも大人買い。図書カードを貰って気が大きくなったのか、カードの金額を遥かにこえる買い物をしてしまう。しかもカードは使わずに。

ふくれあがったカバンを持って帰路につく。車中の読書は昨日届いた川上信定「本当にうまい朝めしの素」(講談社文庫)。各章が“鶏卵”、“醤油”、“海苔”、“味噌”というように朝飯を構成するものに別れており、筆者はすぐれた品を作っている現場に足を運んでいる。石田千さんが推薦するだけあって、ただの食材ルポではなく、うまいものをうまく食べることの幸せが文章の隅々から立ち上ってくるような本。また、食味のエッセイを読むのが大好きという著者は、豊富にそれらの本の話題をちりばめてくれるので、本好きにもうれしいつくりになっている。色川武大氏を《老師》と呼んで尊敬し、石田千さんとも関係の深い嵐山光三郎氏と親交があり、古川緑波の日記を愛読するという著者がたんなるライターではないのは明らかだ。何にしても、読んでいるだけでほかほかの白いご飯に、卵でも海苔でも醤油でも味噌でもいいからかけてハグハグと食べたくて仕方なくなる。この本、おススメです。
地元の駅で降りると、我慢できずに定食屋に直行し、肉豆腐鍋定食をガツガツと食べる。
帰宅後、種村季弘ムックから坪内祐三×松山巌対談を読む。種村さんの謎を語り、種村さんの本を読んでみたい気にさせる対談だ。積ん読本の「雨の日はソファで散歩」(筑摩書房)を読まなければと思う。