風邪ひきさんには「エマ」が効く。

朝起きると、喉が痛い。本格的に風邪の兆候が出てきたようだ。
いろいろあって今日まで出勤する。体調も悪いので野外の仕事は避け、室内で過ごす。早目に退勤する。
本屋に寄って、『編集会議』最新号の岡崎武志さんの書斎拝見ページや『天然生活』の近代ナリコさん新連載エッセイなどをペラペラと見る。ともに興味深いが最近の己の「雑誌力」に恐れを感じて棚に戻す。
帰宅後風邪薬を飲んから読書。先日から読み始めたジェイン・オースティン「エマ(上下)」(ちくま文庫)を炬燵に入りながら。2年前同じくちくま文庫の新訳で「高慢と偏見」を読み、その面白さにオースティンという作家に興味を持った。「エマ」も「高慢と偏見」同様、女主人公の結婚を巡るドラマが展開される。そこだけ見ると小津安二郎映画と同じように思えるが、フラットキャラクター(小林信彦「小説世界のロビンソン」参照)たちが繰り広げる伏線豊富なドラマの展開は小津作品とは正反対のものだろう。醒めた人間観察とユーモア感覚を持つオースティンの描く嫌なヤツ(たとえばエルトン夫妻)は笑いがこみ上げるくらいに生き生きとしているし、はた迷惑なおしゃべりおばさんの止めどもない饒舌を描き尽くす様は見事としか言いようがない。安心して読める古典的名作の見本ですね。絵に書いたようなパッピーエンドを味わって読了する。風邪を引いた午後に読むには最適の作品だ。
風邪のため、年賀状書きその他諸々を先送りする。明日はなんとかしなければ。
エマ (上) (ちくま文庫)            エマ (下) (ちくま文庫)