雨の日の落穂拾い。

起きたら10時前。曇っているので部屋が暗く、まだ早い時間かと勘違いする。
風呂に入りながら落語を聴く。一昨日買った三遊亭小円朝「千早振る/後生鰻」。「後生鰻」はずうっと以前に聴いたことがあるはずだが、すっかり忘れていた話。にっこり笑っている赤ん坊を川へ放り込むサゲのブラックジョークにドキッとする。親による幼児虐待が世間を騒がしているだけに怖い。
落語のテープをHDDに落とす作業を再開。志ん朝「火焔太鼓」・「五人廻し」・「愛宕山」、円生「なめる」・「佐々木政談」、文楽愛宕山」、小三治「ミイラ取り」・「居残り佐平次」など。ほとんどがTBS「落語特選会」のもの。録画できていないものも沢山あるから、深夜の枠でいいから全部を再放送してもらえないものかと思う。
冷たい冬の雨が降る中、昼過ぎに外出する。駅前に出て、いろいろ買い物。まずは本屋へ。

  • 『東京人』1月号

創刊20周年記念号として創刊した1986年から今年までの『東京人』を項目ごとに回顧した内容。巻頭の表紙ダイジェストを眺めていて、僕が初めて買った『東京人』を見つける。1994年8月号(と読める)の「昭和三十年代、東京。」を特集した号だ。この後、表紙のデザインがリニューアルした“幸田家の人びと”を特集した号から意識して買うようになった。それ以来、神保町特集は欠かさず買っている。
その他の買い物を済ませ、吉野家で昼食をとり、バスに乗る。途中下車して馴染みの床屋へ。洗髪を若い見習い店員がやってくれるのだが、力が強くて体が持っていかれるような押し付けられるような感じになって困った。若いというのは力の入れどころと抜きどころが分からないということだと思いつつ我慢の時を過ごす。
帰宅して、ダビング作業を続けながら読書。落穂拾いのように、読みかけの本を1冊ずつ片付けていく。村上春樹意味がなければスイングはない」、鴻巣友季子「明治大正翻訳ワンダーランド」を読了。
『東京人』から坪内祐三古書店」を読む。いつもの坪内節で自身編集の17号“東京は世界一の古本都市である”(このセンスのない命名は自分ではないと坪内氏は力説している)の出来を自画自賛しながら、最近の神保町メインストリートの変貌への危惧を末尾に語って終わっている。確かに、古書店街の真ん中に新しく立ち食いソバやができたりして店並びの雰囲気が変わりつつあるのは確かなように感じる。
『水声通信』2号から、小島信夫チェーホフを読みながら」と堀江敏幸「大学の送迎バスを乗り遅れた小島信夫さんをめぐる随想」を読む。ともに小説家による散文。タイプは違うのだが、目的地に真っ直ぐ行こうとせず、迂回と寄り道をしながらウネウネくねくねと語ることを楽しんでいるようなもの。前者を読むとチェーホフ「曠野」を、後者を読むと小島信夫各務原 名古屋 国立」を読みたくなった。
今日聴いたアルバム。

Picture of Heath

Picture of Heath

パシフィックジャズレコードのアルバム。
チェット・ベイカーアート・ペッパーの白人美男子コンビのフロントラインがいい。ライナーノーツを読むとペッパーと黒人リズムトリオとの間に確執があり、険悪な緊張感のもとでのレコーディングだったらしい。そんなことを感じさせない演奏になっているのが人間の不思議を感じさせるようで面白い。