師走の風は冷たくても。

今日から12月だ。今月は遅番から始まる。
7時過ぎに起きて、洗濯機のスイッチを入れ、風呂に入る。今日の朝風呂de落語は三遊亭円馬「子別れ」。聞き始めて上中下のうちの中に当たる部分であることに気付く。大工の熊さんが、何日も家を空け、帰ってきて女房と喧嘩をするくだりだ。女房と子供(話の中にはまったく出てこない)を追い出すところでサゲになる。ここで終わられるとなんだか消化不良をおこしたような感じ。やはり、下の「子は鎹」までやってもらわないとすわりが悪くっていけない。そこで、出勤するバスの中で志ん朝版で「子別れ」の下を聴く。子供の金坊が、ませて達者な口をきくのがいい。「真田小僧」の子供と同じだ。サゲに辿り着く前にバスを降りる。
職場へ向かう前にTSUTAYAにCDを返そうと路地を入っていくと、よく覗いていた昔ながらの古本屋に業者が入って、内装を解体しているのに出くわす。そういえば、先週くらいから定休日でもないのにシャッターが下りているのを何度か目にしていたので、もしやと思っていたのだがやっぱり店をたたむらしい。老夫婦2人で細々とやっている店だったのでそう遠くないうちにこのようなことになるのではないかと思ってはいたのだが、このように現実となってしまうとやはり寂しい。これでこの街に来てから古本屋が閉店したのは3軒目。残りは2軒となった。もし、この街から古本屋が1軒もなくなったら、真剣に引っ越しを考えようかなどと思いながら職場へ。
昨晩食べ過ぎたらしく、胃腸の調子がよろしくない。昼は固形物を避けて、ウィダーインゼリーで済ます。調子もよくないので6時前に退勤する。
本屋に寄る。

野坂昭如特集号だ。今度神保町に行った時に1割引でとも考えたのだが、やはりすぐに欲しくなって買ってしまう。
CDショップ行き、たまっていたポイントを使ってCDを1枚入手してからバスに乗る。
バスの中で志ん朝版「子別れ」の続き。バスを降りる頃、やっと「おいらが、鎹だって。だから、昨日おっかさんは金槌で打つと言ったんだ」という有名なサゲに到る。これでスッキリした。
帰宅して、『ユリイカ』から坪内祐三野坂昭如という文壇」を読む。野坂氏が文壇とは吉行淳之介が居たところだと言ったことを受け、坪内氏にとっての文壇とは野坂昭如が居たところであることを書いた文章。そのひそみにならって言えば、今の僕にとっての文壇とは坪内祐三福田和也両氏の文章の中にある場所ということになるのかな。
その他、フォトアルバムのページ(自宅の風呂でサングラスを取った野坂氏の瞳に痺れる)やCMソング・アンソロジーを楽しんだ。
今週の『週刊文春』から小林信彦氏の連載を読む。「中北千枝子本田美奈子」と題された文章の中にこんな記述を見つける。
成瀬巳喜男だけが論じられる昨今だが、戦後でも千葉泰樹久松静児豊田四郎といった監督のほうが成瀬よりも上だったとぼくは思っている。》
小林氏が、こういうことをさりげなくかつ意識的に書いているのを読むと未見の千葉監督と久松監督の映画を観たくなってしまう。
同じページに3日発売の『東京人』1月号の広告が載っているので目がいく。特集が“1986〜2005 「東京人」が見てきたもの”となっており、銀座(川本三郎)・神保町(坪内祐三)・同潤会アパート植田実)・カメラの周辺(赤瀬川原平)・落語、お笑い(高田文夫)といった記事が載るらしい。別段目新しいものがあるわけではないが、やはりそそられるものはある。
ブログ散歩をしていると、「Web読書手帖」の昨日の記事で南星堂書店の閉店を知る。『ダ・ヴィンチ』の北尾トロさんの連載でその存在を知り、そのうち一度行ってみたいとこの日記にも書いた店だ(http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/20050707)。半年での撤退か。現実はやはり厳しいのだな。昼の古本屋といい、南星堂といい、古本も新刊も売れない時代なのだろう。それでも頑張って営業している店はまだ多い。それらが減らないように願う。生きる楽しみが少なくなってしまうじゃないか。
その後、村上春樹意味がなければスイングはない」を読み継ぐ。
今日聴いたアルバム。

Little Miss Jazz And Jive

Little Miss Jazz And Jive

  • アーティスト: akiko,EDWARD FARLEY,RED HODGSON,MIKE RILEY,KONISHI yasuharu
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/11/23
  • メディア: CD
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今日買った1枚。akikoという女性ジャズシンガーを聴くのは初めてなのだが、小西康陽プロデュースの文字と1曲目に「スウィングしなけりゃ意味ないね」が入っているので選んだ。
遊び心のある紙ジャケットと全編ノリのよいアルバム作りがいい。8曲目はサッチモへの楽しいオマージュとなっている。ドライブのおともに最適。と言っても、ペーパードライバーの僕には関係ないのだけど。