個室で『サンデー毎日』。

職場でいつも使用するトイレが清掃中のため、別の階の来賓用トイレに行く。来賓用と言っても使用しているのは主にこの階にいるおエライさん達なのだが。我々のトイレと違ってスペースもゆったりとられており、なにより洗面所に温水が出るのがこの季節にはありがたい。個室に入ると、奥の壁にある棚状の部分に『サンデー毎日』が置いてあるではないか。これまでもたまに利用してきたのだがこんなことは初めてだ。もちろん、備え付けられているわけではなく、おエライさんの誰かが暇つぶし用に置いているのだろう。さっそく、読ませてもらう。読書欄を開いて、新書や文庫本の紹介文を眺める。ここは署名のない記事なので、どれが岡崎武志さんの書いたものかを探りながら読む。草森紳一「随筆 本が崩れる」(文春新書)はまずカタイところだろうなどとやっているうちに始業時間が近づく。あわてて席に戻る。
退勤後、いつもの本屋へ。

カバーの自分の家のポストに肘を置いて怒っているのか笑っているのか分からないブローティガンの写真がいい。自分の訳したブローティガンの作品が30年を経て文庫化されることを心から喜んでいる藤本和子さんのあとがきもいい。
ビッグ・サーの南軍将軍 (河出文庫)
レジで『本の話』12月号を貰って帰る。帰宅してブログ散歩をしていると、ブログ「書林雜記@淡路」(id:ginzburg)で、谷沢永一「紙つぶて 自作自注最終版」(文藝春秋)が出ることを知る。その後、『本の話』を読んでいたら12月刊行本の紹介に「紙つぶて」が出ていた。文春文庫版「紙つぶて(全)」の455編に自注を書き下ろしたものだとのこと。992ページで定価5250円だ。文春文庫版、PHP文庫版と2冊を持ち、それぞれをなめるように楽しく読んだ記憶がある。読んだ谷沢本の中ではピカイチで面白い本だと思う。5000円をこえる値段には驚くが、それでもあの面白さをもう一度自注付きでという気持ちは押さえがたいかな。
「紙つぶて」の話は、「退屈男と本と街」や「ジュンク堂書店日記」にも出ていた。やはり、この本の面白さを知っている人は多いようだ。
今日聴いたアルバム。

今日はともにモノクロの写真をジャケットに使ったアルバムだ。2枚ともなんだかプレステッジぼくない。どこかブルーノートを意識した感じもしてしまう。
1枚目は、トロンボーンカーティス・フラーの初リーダーアルバム。このときフラーは22歳。若々しく先を急ぐような演奏が微笑ましい。メンバー最年長はピアノのハンク・ジョーンズ。この時すでに30代後半だから現在では85歳をこえている。この人まだ現役らしい。最新アルバムがこの間店頭に並んでいたのを見た。ロリンズといい、向こうの人は元気に歳を取るものだ。
2枚目は、レッド・ガーランドコルトレーンの共演盤。2人は、マイルス・デイビス・クインテッドの同僚だ。この頃のマイルス・グループが一番いい。モードなんて言い始める前の、コルトレーンがアッチへ行ってしまう前の彼らの演奏が好きなのだ。5曲目の「トゥー・ベース・ヒット」のピアノソロの部分でいきなり、「ソニー・クラーク・トリオ」(ブルーノート)を聴いているのかと錯覚してしまうような部分が出てくる。どちらが真似したのかと詮索するよりもこの2人のマイナーでシブいピアニストの近しさのあらわれと捉えて楽しみたい。