ぐっと胸をつかまれる。

今朝はいつもの時間に起床する。やればできるじゃないか。一度、4時に目が覚めてビックリしたけど。
遅番のところを朝から出勤して昨日のケアをする。午後から仕事が立て込み夕方までノンストップで仕事が続く。仕事が途切れたところを見計らい、すっと退勤する。また新しい仕事に着手してしまうと数時間は帰れなくなってしまうので。
駅ビル内のダイソーで105円CDを買う。「落語名人 三遊亭円馬」、「落語名人 春風亭梅橋」、「落語名人 桂梅太郎」の3枚。後ろの2枚は新作落語らしい。
本屋に寄ると店頭で新創刊雑誌を売り出している。思わず買ってしまう。

どうやらフランスの雑誌の日本版らしい。あるトピックスに対して各国の新聞、雑誌がどのように報じているかを集めて編集するのが売りのようだ。買ってしまったのは特集の“世界が見たKOIZUMI”に惹かれたのではなく、“NYタイムズ・インタビュー村上春樹”の文字を表紙に見つけたからだ。
自宅近くのコンビニで『週刊文春』を入手して帰宅。小林信彦氏のコラム(と氏自身は考えていないらしい)は“コラムは短か目に”という題で、コラムという言葉が日本の雑誌でどう使われてきたか(または使われてこなかったか)を、戦前の『新青年』から戦後の『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』・『マンハント』・『ヒッチコックマガジン』などを通して概観している。氏に言わせるとコラムという言葉を一般化させたのは70年代前半の『ポパイ』であるということだ。日本人の数少ないコラムニストと呼べる人の1人として作家の亀和田武さんがあげられている。朝日新聞日曜版の読書欄に掲載されている「マガジンウオッチ」は要チェックであると知った。
坪内祐三さんの「文庫本を狙え」は小山清「日々の麺麭・風貌」(講談社文芸文庫)を取り上げている。ちょうど僕も読んでいる本なのでタイムリーだ。坪内さんは大学生時代に旺文社文庫の「落穂拾い・雪の宿」を買って読み、《大切な私だけの宝物》として小山清作品を愛読してきたらしい。その思いからか珍しく感情を素直に表現する(それでもずいぶん控え目ではあるのだが)最後の段落にちょっと驚く。
坪内さんが《「たけくらべ」と並ぶ美しい少年少女小説》と評価する「桜林」を読む。浅草の新吉原で育った少年時代を回顧した小説なのだが、大正時代の芝居や芸事が日常の中にしっくりと収まっていた浅草周辺の街の暮らしが息づいている。後半にかかり、竹馬の友の妹であるのぶちゃんと家出のような道行きのような荒川周辺への遠出から祭の仮装行列、神輿での怪我をへて父親と二人で祭を見下ろす(父親は盲目である)ラストまでの素晴らしさ。小山清という作家にぐっと胸をつかまれたような気がする。傑作だと思う。
晶文社のサイトで、内堀弘さん(石神井書林)、荻原魚雷さんの連載が始まったことを「本の街日記」(id:ryoryo23)で知った。ともに、これからが楽しみな連載である。
今日聴いたアルバム。

「テナー・マドネス」は、ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンがテナー・バトルを繰り広げたことで有名なアルバムだが、2人が共演しているのは表題曲のみ。他はロリンズのワンホーンアルバムだ。「ソウルトレーン」はコルトレーンのワンホーンアルバム。このほぼ同じリズムセクション(ドラムが違うだけ)を従えた2枚のアルバムを聴き比べる方がよっぽど2人のテナー・バトルを楽しめると思うがどうだろう。