反則(販促)。

夕方まで仕事。木枯らしが身に沁みるようになってきた。
自宅にも暖房が必要な時期が刻々と迫ってきているのだが、部屋のオイルヒーターの上にはいつの間にか本が平積みになっている。これをどかさなければ僕の快適なウインターライフは訪れない。さて、どこに移動したものか。
帰宅して、小山清「日々の麺麭・風貌」(講談社文芸文庫)を手に取る。まずは、川西政明氏による解説に目を通す。その後年表に目を走らせ、小山清という作家のおおよその人生の流れをつかむ。それから、本の初めに戻り、最初に置かれた「落穂拾い」を読む。作者自身と思われる《僕》と独りで古本屋を営む10代の少女との淡い交流を描いた作品。この作品を読みたかったのだ。というのも、まず最初に「落穂拾い」の存在を知り(青木正美「古本屋五十年」で知ったとばかり思い込んでいたのだがその箇所が見つからない)、その古本屋の少女が出てくる小説を書いた作家とし小山清の名前が僕の頭に刻み込まれることになったからだ。思っていたよりも短い作品で、しかも古本屋の少女は後半にしかでてこない。予想以上にあっさりとした淡白な作品だ。でも、落胆の感情は出てこない。まだ、一作を読んだだけの段階なのだが、クセになりそうな作家である。もっと読みたいと思わせるものがある。だけど、がつがつ読むようなタイプの作家ではないので、ゆっくりちびちび読んで行こうと思う。
「Web読書手帖」経由で公開されている「小山清著書目録」の存在を知る。覗いてみると「日用帳」(id:joujita)に出てくる随筆集「二人の友」の目次が掲載されており、その内容に興味を覚える。しかも、この「二人の友」が審美社から再刊され、現在も新刊で入手可能なことが分かった。さっそく、アマゾンをチェックしてみると、“あと1冊在庫あり”と出ているではないか。思わずクリックしてしまう。この言葉、反則(販促)ですよね。
今日聴いたアルバム。

タイトルもジャケットもいい。6曲目のスタンダード「スターダスト」の遊び心にクラーク・テリーの余裕を感じる。