神田古本まつり。

午前中、仕事に出る。このところ風邪気味であったのだが、今日は特にひどい。鼻が出て、くしゃみも頻発。なんとか仕事は終えて電車に乗る。予定通り神田古本まつりに向かうのだ。
地下鉄を出て、すずらん通りに入り、まずは昼食。牛丼屋で定食350円。古本まつりの最中なのでやっているかと期待した書肆アクセスは閉まっている。残念。そこで東京堂でこの2冊。

この買い物で今日の来神目的はもう達成したようなもの。坪内本はサイン入り。小振りで箱入り。これはもうお気に入り、なんて脚韻を踏みたくなるくらい心躍る本だ(造りも内容も)。坪内本の青と黄に負けない存在感を漂わせた朱色の『彷書月刊』もうれしい。ひと月余分に待たされただけうれしさも倍に感じる。
この他『波』11月号を買い、『図書』と『ちくま』を貰った。
三省堂の前に出る。古本まつりの展示場だ。やはり最終日で休日ということで人が多い。風邪っぴきの体調ではその人ごみに伍して棚を覗いて回るのがきつい。比較的空いている棚の前に立つと、『東京人』のバックナンバーが並んでいる。坪内さんの本を買ったばかりなので、記念に坪内編集員在籍時代の1冊と創刊号を選ぶ。

  • 『季刊 東京人』1986年創刊号
  • 『東京人』1990年5月号

後者の特集は“東京を読む”という読書もの。冒頭のインタビューが神吉拓郎さん、「文庫本で読む東京」の対談者が池内紀さんと出口裕弘さん、「私に東京を教えた一冊の本」の執筆者に武田百合子さんや徳永康元さん、その他各ジャンルの東京本をセレクトするメンバーが多士済々。さすが魅力的な誌面作りだな。
喫茶ぶらじるで休憩。やはり体調悪く、あまり長く棚を見ていられない。『彷書月刊』を読む。古本小説大賞の選評座談会や南陀楼綾繁さんの「ぼくの書サイ徘徊録」などが面白い。南陀楼さんはブログ「エエジャナイカ」の北村知之さんを取り上げている。「エエジャナイカ」の独特の味わいがうまく説明されていて思わず頷いてしまう。納得です。岡崎武志さんの「均一小僧の気まぐれ古書店紀行」は、夏の下鴨納涼古本まつりと尾道編。倉敷の虫書房(虫三つです)も出てくるかと期待していたのだが、まだ辿り着かず。次号を待てというところですかね。
人の群がっている場所は避けながら歩き、一誠堂の前へ。

3冊500円。1番目は佐野繁次郎装幀。これが欲しくて後の2冊を選ぶ。
日本特価書籍で『ユリイカ』最新号“特集*文科系女子カタログ”などを買ったところで力つきて帰路につく。当初の予定ではここから銀座に出て阪急で4時から行われるアン・サリーライブを聴くつもりであったが、大勢の中に混じって立ち見で聴くのは体調から考えて難しく、また12月のライブへの気持ちの盛り上がりにも水を差しそうなので取りやめる。
帰路の車中は昨日に引き続き「随筆 本が崩れる」。話題があちらこちらへと飛ぶ、まさに随意気侭な筆の運び(実際草森さんは書痙から毛筆で原稿を書いているとのこと)。話はいつの間にか男鹿半島での紀行文になっている。終わり方のあっけなさもまた“らしく”ていい。
帰宅して、野菜入りうどんを食べ、風邪薬を飲む。『波』掲載の「東京少年」に関する坪内祐三さんのエッセイと小林信彦さんのインタビューに目を通し、布団に入って「東京少年」の続きを読む。