友人の芝居。

今日は、西所沢で友人の出演する芝居があるので、昼前に家を出る。
池袋駅に着いて西武池袋線に乗り換えようと思いながら時計を見ると、開演までけっこう時間がある。せっかく池袋に来たのだからとジュンク堂に立ち寄る。

「エエジャナイカ」(id:akaheru)の25日の日記で発売を知り、ここならと当たりをつけて探してみるとドンピシャ。棚にあった最後の一冊をいただく。『BOOKISH』はジュンク堂でも見当たらず。
ここまで来たのだからと古書往来座へも足を伸ばす。
売りである講談社文芸文庫の棚を眺め、相変わらずの充実ぶりに満足するが、探しているものはなく代わりにこの1冊。

この本は24日の「須雅屋の古本暗黒世界」(id:nekomatagi)で江戸川乱歩小林秀雄の対談が収録されているというので興味があった。その他にも大岡昇平吉田健一中村真一郎和田誠植草甚一といった凄玉たちの推理小説に関する文章が収録されている。420円なり。
西武池袋線で西所沢へ。ここに来るのは初めて。友人に聞いた通りに道を辿っていくと、太陽劇団スタジオがあった。大正時代の建物を解体した材料を使ってその昔作られた建物を数年前に改造したというとても小さな演劇スペースである。大人が30人も入れば一杯という感じ。開演ぎりぎりに行ったので、なんとか詰めてもらい端っこに座る。今日の劇は「大雑草」というコメディタッチのお話。普段は教育関係の仕事をしている大学時代の友人が趣味で参加している劇団の第27回公演になるという。
約2時間、狭い座席にお尻や体を痛くしながら観劇。いや〜ぁ、知り合いが出ている芝居というのはなんとも気恥ずかしいものですね。どうも劇に集中できなくて困ります。
西所沢から池袋経由で高田馬場へ。このまま渋谷に出て帰ってもいいのだが、せっかくここまで来たのだからと途中下車。確かBIGBOX古書市が行われていたはずだ。今回は向井さんの古書現世は残念ながら参加していない。会場へ向かう駅前バス乗り場のところで若者たちがチラシを配りながら「あの韓国語を無料で教える講座をボランティアの韓国人留学生が開きます!」と叫んでいる。「あの韓国語」っていうのはどうなんでしょうね。なんだか気になる表現だ。古書市で1冊。

一目で分かる特徴のある手書き文字の装幀を見て、佐野繁次郎装幀本だと判断し、300円で購入する。しかし、後で確認してみると装幀者はマダム・マサコ佐野繁次郎画伯の影響を強く受けた人だとは聞いていたが、いや全く見分けがつきませんでした。勉強になりました。
その後、BIGBOX裏のブックオフを覗くが、105円棚極少店で何も買えず。時刻は夕方なのに昼食をとっていなかったため強い空腹を覚える。しっかりしたものを食べようと、BIGBOX近くの「とん久」でおろしカツ定食。ここはしじみの味噌汁とトン汁を選べるシステムになっているので、トン汁を頼む。これがなかなかのボリューム。またご飯もお代わり自由のため、しっかり2杯食べる。ユズ入りポン酢のおろしダレで食べたり、ソースをしっかりかけて芥子をからめて食べたりしてトンカツを堪能する。
帰りの電車では昨日からの続きで小林信彦「昭和の東京、平成の東京」(ちくま文庫)を読む。横浜に住んでいる者として、少し長めのエッセイ「ヨコハマ・グラフティ」を興味深く再読。小林氏のヨコハマ物では、「笑いごとじゃない ユーモア傑作選」(文春文庫)収録の神野推理シリーズの一編「ヨコハマ1958」がよかった記憶あり。推理物なのだが、市電の走っていた昔のヨコハマへのノスタルジーが快い作品であった。
帰宅するとポストに小包。古書現世から早くも目録注文品が到着している。今回当たったのは以下の4点。

杉村本は署名入り。小津映画や成瀬映画を見るたび、この女優さんのうまさと存在感に思わず笑ってしまうくらい感心する。また、小包の中には『未来』7月号が入っている。もちろん、向井さんの「開店まで 早稲田古書店街外史」が掲載されている。この号、お店で貰い逃していたのでうれしい。この『未来』と『みすず』は定期購読の手続きをしなくてはと思いながら、無精しているうちにいつも忘れてしまうのだ。
家で『エルマガジン』に目を通す。山本善行さんの「天声善語」は平野甲賀平野甲賀〔装丁〕術・好きな本のかたち」(晶文社)について。山本さんが古本屋で買ったこの本から1ページが切り取られていたため、図書館で借りてコピーし、それを自分の本に貼付けたという。本の山から自分の所蔵本を出して、その切り取られていたページを確認。なるほど、切り取りたくなるのもわかるかな。ぺらぺらめくっているとこの本には、平野さんがこれまで手がけた装幀本の写真がたくさん載っている。自分がいかに小林信彦本で平野装幀に馴染んでいたかを再確認する。それにしても、犀の本シリーズは13冊全てを集めたくなる愛らしい本たちであるなあ。


【月刊アン・サリー計画/今日の1曲】

日本語と英語の両方で歌ってほしい。