書店で春樹祭り。

昨日買ったビデオを職場に持っていき、仕事に使う。新しく買ったものを持っていくだけで、なんだか仕事が楽しくなる。なんという単純な。
気をよくして、仕事帰りに昨日の店に行き、貯まっていたポイントを利用してバッテリーを買い足す。だいたい付属のバッテリーの能力が低すぎるのだ。最初から色々買い足させることを狙ったセッティングをしているのが面白くない。
当然のごとく本屋に寄る。
先日来探している近代ナリコさんの新刊は相変わらず姿が見えない。題名からして文芸エッセイではなく、建築やインテリアの棚にあるのではないかと思いそちらを覗くが発見できず。念のため美術のコーナーもチェックするがハズレ。この店にはPARCO出版の本は入らないのだろうか。
そんな風に店の隅々まで見て回っていると、現在書店では“角川春樹祭り”が行われているのがわかる。まず、そのカバー写真に度肝を抜かれる著書「わが闘争」、“男祭り”という単語が頭に浮かぶ『ランティエ』の表紙を飾る長渕剛&春樹のグラサン・ツーショット。その他、『TONE』という雑誌の巻頭で取り上げられたかと思うと、先日買った『en-taxi』にも「角川春樹俳句手帖」という連載企画が載っている。俳人としても有名な角川氏は、どこかで読んだ情報によれば「自分は芭蕉を超えた」と公言しているとのこと。それは、すごいことなのだが、それが客観的事実(誰が認定するのか不明だが)であったとしても、一般の人にはどうでもいいことであることを考えると笑うことも感心することもしずらく、いっそ聞こえなかった振りをしたくなる発言のように感じる。
帰宅して、小谷野敦帰ってきたもてない男」(ちくま新書)を半分ほど読む。面白い。「もてない男」がベストセラーになってしまった結果、自分の名前に“もてない男”という冠がついてしまったことを、「ウルトラセブン」のモロボシダンとして記憶されてしまった森次晃嗣さんになぞらえている。ほぼ同世代なのでこの例えには頷いてしまった。

最近聴いている2枚の矢野顕子アルバムに大貫さんの「横顔」と「突然の贈りもの」がカバーされていたので、オリジナルを聴き直してみたいと考えて聴いてみる。それによって矢野版「突然の贈りもの」は珍しくオリジナルの大貫バージョンにとても近い感じで歌われているのがわかる。
この「ライブラリー」は小林信彦さんが以前『週刊文春』連載エッセイで言及していたので、買ったもの。大貫さんの声というのもワン&オンリーだなあとしみじみ。“突然の贈りもの〜”という歌い出しだけで、大貫ランドはしゅるしゅると聴き手の周囲に広がり、世界の構築を終えてしまう。
わが闘争―不良青年は世界を目指す  
大貫妙子 ライブラリー