今日も一日野外で仕事。昨日より風がない分、蒸し暑い気がする。汗と日焼けでそりゃあもう大騒ぎさという状態で夕方まで過ごす。
帰りに地元の本屋に寄る。そこで1冊。
近年、満洲への漠然とした興味を持っており、その流れの中で視野に入ってきた本。最近、山口昌男「『挫折』の昭和史(上・下)」を読んだことも興味を持つ引き金になっている。その前を辿れば、四方田犬彦「日本の女優」(岩波書店)で李香蘭と満映に関する文章を読んだり、四方田本でも取り上げられている原節子主演の日独合作映画「新しき土」(アーノルド・ファンク監督)*1のラストで高らかに希望の国として登場してくる満洲を観たことも理由のひとつといえる。もっと、さかのぼれば大学時代に読んだ夏目漱石「明暗」に見え隠れする外部としての満洲の存在が気になったこともそうだろう。そうそう、坂本龍一が甘粕大尉を演じた映画「ラストエンペラー」を観たことも忘れてはいけない。
僕の満洲に対する興味が漠然としているのと同じように、「満洲」という国家の存在も漠然としたものであるようだ。国家なのか国家でないのかさえよく分からないこの場所*2を通して近代国家や共同体について考察する試みが武田さんの狙いであることを解説の永江朗氏は述べている。文庫化に当たり、地図・図版の追加と索引が新たに付されている。こういう努力の感じられる文庫本には喜んでお代を払いたくなる。