スロー、スロー、クイック、クイック。

朝4時に起きてコンフェデレーションズカップの日本対ブラジル戦を観る。ロナウジーニョのカウンターからあっけなく先制点を取られるのを目の前にして内心「ダメダコリャ」と思っていたのだが、前半のうち20分くらいは素晴らしいダイレクトパスが繋がり、中村のミドルシュートで同点となるに及び、ちょっとテレビに前のめりとなる。しかし、その後またしてもロナウジーニョの個人技で逆転。後半なんとか中村のフリーキックから同点としたが、引き分けも視野に入れたブラジルの試合運びにまんまと乗せられた感じ。逆転した後のブラジルは、ゆっくりパスを回しながらここぞというときはすばやいパス回しであっというまに日本ゴールの前に来てしまう。それでも2点しか取れないのだから、サッカーというのは不思議なスポーツだ。
今日は遅番なのでサッカー観戦後、2時間ほど寝てから出勤。一日の仕事を終えた後は、いつも通り本屋へ。

特集は“木村カエラ”(誰?)と“結婚”。それらを飛ばして末尾の2連載を見る。
草森紳一「記憶のちぎれ雲」は田中小実昌氏をめぐるエッセイだ。それにしてもコミさんの翻訳について綴られるその文字の小さいこと。これは筆者による意図的な選択なのだろうか。さいわい老眼はまだ始まっていないのだが、あと10年もすれば絶対に読めなくなる文字の小ささですよこれは。あわてず、今度ゆっくり読もう。
坪内祐三「東京」の第9回は赤坂が取り上げられている。この北島敬三氏の写真と坪内さんの文章による写真エッセイは、言うまでもなく、小林信彦氏と荒木経惟氏が文芸雑誌『海』(中央公論社)に連載した「私説東京繁盛記」へのオマージュである。小林氏が荒木氏とともに東京のあちらこちらを歩き、その場所を写真におさめ、今の東京を語りつつ同時にその場所にまつわる小林氏の過去が回想されるという自分史的東京論と同じ手法で、坪内さんも赤坂にまつわる自分史を語っている。そこに登場する有名な落語家の娘であるバーのマダムと矢代静一氏と坪内さんの3人がまだ客の来ないマダムの店で映画「銀座カンカン娘」(志ん生出演)のビデオを見たという思い出話がいい。もちろん、赤坂にあった古本屋にもさりげなく触れるのが坪内流。
この他、近代ナリコさんや荻原魚雷さんの文章も読める『QJ』は、けっこう本好きには見逃せない雑誌だと思う。
クイック・ジャパン (Vol.60)