高田馬場発秋葉原行き。

仕事帰りに本屋へ。

嵐山本は、『小説すばる』に連載されていたもの。嵐山氏に加えて坂崎重盛氏と石田千さんを中心とした古本チームが東京の各地の古本地帯を巡り、「誰が一番の掘り出し物を見つけたか」を競う十八番勝負の記録である。石田千さんの参加が興味深い。そういえば、いつぞや渋谷東急の古本市の時嵐山氏の姿を見かけたことがある。その時同年輩の男性と一緒だった(今から思えば坂崎氏ではなかったか)。もしやこの連載のための古本勝負ではと思い古本市の章を覗いてみたが、東急の古本市の話は見つけられなかった。
谷川詩集は全3巻からなる選集の第1巻。巻末にカラーで“収録詩集装幀選”がついているのがいい。
家のポストに古書現世からの小包が。目録で注文した本だ。そのなかに『未来』6月号が入っている。向井さんの心遣いに感謝。さっそく向井さんの手になる平野書店の「開店まで」を読む。僕が最初に早稲田古本屋街を訪れたのは大学生になったばかりの頃だ。高田馬場駅から早稲田の古本屋をめぐり、そのまま歩いて神楽坂を下って神保町の古本屋街へ。古本屋をのぞいてからお茶の水へのぼり聖橋を渡って秋葉原駅に辿り着く。そこから電車で家に帰った。10代の若さであったが、へとへとに疲れた(今思い出していても草臥れる)。あの時、早稲田で平野書店に寄ったはずだ。詳細はもう覚えていないが、白い紙に包まれた本を並べた書店に入った記憶がある。そうだ、あの日あれだけの距離を歩き、沢山の古本屋を回ったのにもかかわらず、僕は1冊も本を買っていない。お金がなかったということもあるが、それだけでも満足だったのだ。そこに古本屋があるだけで。