梅雨入り前にツケが来た。

今日は遅番。いつものように朝風呂で落語。志ん生厩火事」と「六尺棒」を聴く。マクラでの「噺家一人を救うと、猫六千匹を救うのと同じことになる」というフレーズが可笑しい。
ipodを聴きながら、徒歩通勤。BEGINの「声のおまもりください」を選ぶ。選曲理由は、サッカー元日本代表・前園真聖選手の現役引退の報を聞いたため。まだ、携帯電話が出始めの頃、あるメーカーのCMで前園選手がこの歌をブランコに腰掛けて歌っていた。そして、それがBEGINの同曲CDのB面(CDではそう言わないのだろうが)にその前園バージョンが入っていたのだ。きっと今でも部屋のどこかにそのCDシングルがあるはず。ipodにはBEGINの歌しか入っていないのだが、この曲を聴きながら、アトランタ五輪の頃のゾノの勇姿を思い浮かべつつ歩く。あのとき日本代表の未来は確かに彼が背負っていたし、僕は勝手に彼の切れ味鋭いゴール前でのドリブル突破に日本を超えた“世界”というものを感じていたのだ。今や日本代表の重鎮となった中田英寿選手も当時のラーメン“ラ王”のCMでは、前園先輩の鞄持ち状態であったのが懐かしく、ちょっとほろ苦い。
仕事帰りに本屋で『本とコンピュータ』終刊号を探すが見当たらず。代わりに文芸雑誌を2冊。

  • 文學界』7月号
  • 『新潮』7月号

ブログの「日本近代文学とわたし」では、毎月文芸雑誌の発売日頃になると主要雑誌の読みどころを紹介してくれているのでとても重宝している。今回もそれを参考にさせてもらい定番の『文學界』の他に『新潮』を購入する。『新潮』購入の決め手は、坪内祐三×谷沢永一「雑書宇宙を探検して」。昨年暮れに出版された谷沢氏の「遊星群 時代を語る好書録」(和泉書院)をめぐる特別対談だ。坪内さんの谷沢氏に対する敬意が伝わってくるいい対談である。しかし、同時に困った対談でもある。明治篇と大正編2冊合わせて3万円近くするこの本がとても欲しくなってしまうのだ。そのうち、たぶん、買ってしまうな。きっと。
思い起こせば、大学時代目を通していた『國文學 解釈と教材の研究』(學燈社)と『国文学 解釈と鑑賞』(至文堂)という2冊の雑誌にあった谷沢氏の連載が長い年月を経てこのような大部な書物として結実したのだ。あの頃、著者の谷沢氏には関心があったのだが、連載で取り上げられているなんだが聞いたこともない埃っぽい書名の数々とただ本文を抜き書きしているだけの文章(すみません、そう見えたのです、あの頃は)にほとんど興味が動かず、一度もまともに読んだことがなかったのだ。そのツケが今に回ってきた感じ。もちろん、いやな感じではないのだが。
遊星群―時代を語る好書録 明治篇  遊星群―時代を語る好書録 大正篇