紺ブレで神保町。

朝、TVを観ていてVANヂャケットの創設者である石津謙介氏逝去の報に接する。今日は氏に哀悼の意を表し、ボタンダウンにチノパン、紺ブレという服装で出掛けることにした。行き先は神保町である。
東京堂で3冊。

坪内さんの新刊は東京堂で買うのがしっくりくる。サイン本が並んでいるのではないかと期待したが、まだ早すぎたようだ。今日はこの本を買いにきたようなものなので、サインがなくとも構わない。
東京堂ふくろう店の坪内棚から1冊。

昭和40年代から50年代前半に掛けて書かれた短篇集。原弘装幀ということにも惹かれる。
文庫川村の並びにあるカレーライスの店“エチオピア”に入り、野菜カレーを食べる。辛さを70倍まで注文できるらしいが、辛いのが苦手なので「普通で」と頼んだら「0倍になります」と言われた。0倍って言うのもなんだかなあ。店からすれば張り合いのない客なのだろうな。
三省堂別館の“自由時間”に行き、『エルマガジン』を探すが見つけられず。書肆アクセスのブログにここで売っていると書いてあったのだが、どうやらもう売り切れたのかもしれない。
小宮山書店のガレージセールを覗く。最近のコミガレは、店頭に特集の平台を置いたり、雑誌の箱を並べたりと気合いが入っている。単行本の棚に並んだ本も一瞥しただけで何かありそうなニオイがしている感じ。あっという間に3冊(500円)見つける。

永井本は昭和30年代前半の短篇集。「青梅雨」で読んだものと未読のものが半々くらい。2冊の広瀬本は集英社文庫で集めようかと思っていたもの。和田誠装幀がすばらしく単行本も捨て難い魅力に溢れている。うれしい。これであと「エロス」を手に入れれば広瀬正長編4作は全部手に入れることになる。しかし、コミガレにその姿はなかった。もう誰かの手で抜かれたあとかもしれない。そんな思いで棚を見ていると後ろから小宮山書店の人と同業者らしき人の会話が聞こえてきた。それによると多い時で1日約500冊、1ヶ月で約7000冊をこの場所だけで売るらしい。本というものは結構売れるものなのだなあと感心する。ここにも買う人間が一人いるわけだが。
隣りの喫茶ぶらじるで小休止。『彷書月刊』に目を通す。岡崎武志さんの連載は「九州大地震遭遇記(下)」。古書店地震に遭遇するという内容によるのだろうが、いつものこの欄に比べて文体の緊縮度が違う印象を受ける。最後の2段落が今回の要諦とも言える部分。結びの言葉もピシリと決まってます。南陀楼綾繁さんの連載では金沢の古本カフェ“あうん堂”が取り上げられている。以前からこの店のHPをよく覗いており、是非一度行ってみたいと思っている店。その思いがいっそう強くなる。グレゴリ青山さんの「ブンブン堂のグレちゃん」では横溝正史「真珠郎」の冒頭部分のフレーズが登場。思い起こせば、このゴシックロマン風の書き出しを小林信彦氏が「夢幻戦争」(「オヨヨ大統領の悪夢」[角川文庫]所収)の冒頭でパロディにしているのを中学時代に読み(この一編は推理小説のパロディ小説として絶品)、そのまたパロディを書いて塾の先生に見せて怪訝な顔をされたっけ。そんな懐かしいことを思い出させてくれた。
いつものごとく〆は日本特価書籍で。

欲しかった新刊を2冊購入。
できればこの後、荻窪西荻と回りたかったのだが、今日は6時から横浜で会合があるのであきらめて帰宅する。車中で「古本的」を読む。馴染みの作者の知らない本、まったく知らない作者のまったく知らない本がたくさん出てくる。短い枚数の連載をまとめたもののため、引用や説明も最小限におさえられている。そのチラ見感がたまらない。
いったん帰宅して本を置き、横浜へ。40人近い人数で焼き肉食べ放題。焼き肉でご飯を美味しくいただく。しまったまた総コレステロール数値が上がってしまう。
古本的 植草甚一スタイル (コロナ・ブックス (118))