くわばらくわばら。

久し振りに完全フリーの休日だ。ゆっくりと起きる。洗濯機に洗濯物を放り込み、風呂に入る。志ん朝「三軒長屋・羽織の遊び」をCDで聴きながらのんびりと。
クリーニング屋へ衣類を出し、昼食を買い込んで戻り、午後1時からTVでサッカー観戦。
日本代表対ペルー代表。0対1で負ける。大黒なんてあんなにキレのいい動きをしていたのに、サントスと三浦の両サイドも小笠原や遠藤といった中盤も別に悪いわけではないのにコケルように負ける。もう10年以上も毎試合ビデオに録画しながら繰り返し観ているのに未だに日本代表の実力のほどが分からない。
気分転換にブックオフへ。“本日単行本500円”というセールをしている。えてしてこういう時に限ってほしいと思う本が見つからないものだ。しかし、何も買わないと損をするような気がしてしまうので、何度も棚の前を行ったり来たりするうちに1冊発見。

みずずの“大人の本棚”シリーズのひとつ。このシリーズはできれば全部持っていたいと思わせる魅力的なラインナップだ。ウルフの小説にはあまり興味がないので、エッセイ集であるのもいい。
105円棚からいくつか。

横尾本は「宇宙瞑想」という本の文庫化。岡本太郎今西錦司島尾敏雄手塚治虫といった人達との対談集だ。
「にっぽんほら話」は和田誠さんの文章に様々なイラストレーターが絵をつけたもの。真鍋博宇野亜喜良横尾忠則長新太飯野和好大橋歩、河村要助など名だたるイラストレーターが参加しているという贅沢な本。特に横尾忠則画伯は10枚以上の絵を書いており、その中にはアトム、ヒゲオヤジ、鉄人28号、ヒョータンツギに南海時代の野村克也まで登場するサービスぶり。すごい。
小林本は、現在入手困難(かつ古書価高騰)の「家の旗」と「夢の街 その他の街」という2冊の短篇集からそれぞれ2作品ずつを収録した文庫オリジナルの短編小説集。その意味でも小林信彦ファンにはおいしい文庫本なのだが、現在絶版である。持っていない方は見つけたら即お求めになることをオススメします。僕にとってはダブリ本だけど迷わず籠へ。
三位一体の神話」は上下セットで探したのだが、上巻しかなかった。カバー装画が林哲夫さんの本を題材にした絵であるので、片方だけでも欲しくなった。大西本では「神聖喜劇」(光文社文庫)でも林さんの絵が使われている。こちらは新刊の時に購入してある。積ん読本の中でも読みたい度がトップクラスであるのだが、なにせ長い小説なので、きっかけがつかめずにいる。
「[平成版]普通の人」は、安西水丸氏によるマンガ。長めの解説を村上春樹氏が書いている。長年コンビを組んでいる二人の間柄からかなりくだけた調子で書かれているが、こういうちょっとふざけた感じでいながら、抽象的な表現を適度に使って作品をちゃんと分析した上で、面白く読ませてしまう村上氏の文章はやはりすごい。素人がまねしたら絶対に火傷する文章。くわばらくわばら。
ブックオフを出ようとしたら、雨がポツポツ降り始めていた。急ぎ足で家へ戻る。
今日も五木寛之源氏鶏太佐野繁次郎装幀本は見つけられず。また、岡崎武志さんが日記で書いている島尾敏雄の文庫本も1冊もなかった(林さんがデイリー・スムースで島尾文庫本一覧を載せてくれている)。
家で坪内祐三「『別れる理由』が気になって」をちびちび読み進める。読みながら、「抱擁家族」を読みたくなり、江藤淳「成熟と喪失」も読まねばという気になる。本丸(「別れる理由」)に辿り着くまでに埋めねばならぬ外堀は思ったより多くなりそうだ。
三位一体の神話(上) (光文社文庫)  三位一体の神話(下) (光文社文庫)  家族漂流―東京・横浜二都物語 (文春文庫)