人間ドックで鞄が重い。

今日は日帰り人間ドックの日。仕事の調整をつけて出張扱いで駿河台にある職場が契約している健康診断センターへ。朝8:30から開始だ。このセンターでドックを受けるのは昨年に続いて2回目。ここは不思議と女医さんが多い。狭い個室に入れられ、上半身を剥かれて、ゼリーをかけられてあちらこちら触られる。ズボンをいきなりグッと下げられたりするとドキッとする。もしこのシュチュエーションで男女が逆であれば、絶対セクハラで訴えられそうな状態だ。女医さんにしても中年親父のユルんだ腹を毎日触っているのも大変だろうなと同情してしまう。
検査はテンポよく進み、9:30過ぎには終わってしまう。
さあ、これから一日フリーである。しかもすぐそこに神保町の古書店街が広がっているのだ。「ウッシッシ」と心は大橋巨泉状態となる。とりあえず、時間が早いのでマクドナルドで朝食。昨晩9時から飲み食いしていないので、腹に何か入れたい。先ほどの検診でバリウムと下剤が入っているだけだ。マクドナルドに10時までいて、その後古書会館へ。今日は城北展である。それにしても、10時開始直後に展示即売会に行ったのは初めて。さすがに人もまばら。しかし、棚を眺めているうちにいつの間にか人がぎっしりとなる。今日は、なんだが若い女性の姿が目につく。アンダーグラウンド・ブック・カフェ以外では珍しい。横目で見ているとどうやら大学のサークルで来ているようだ。やはり、おじさんばかりより華やいでいいですね。1冊購入。

やはり、小沢書店の本は端正な造りでいい。装幀は文章で取り上げられている青山二郎
会館を出ると11時。古書店街も目を覚ます時間になった。まずは、ボヘミアン・ギルドから初めてすずらん通りへ。書肆アクセスに入る。ここで『彷書月刊』最新号などを買い。ついでに『未来』5月号と「ちょうちょぼっこ図書目録vol.6」をもらう。その後中山書店に寄ると、随分とすっきりしているのでびっくり。棚の内容の配置も変わっていた。時間が早いせいか店の中央にある由緒正しいエロ本平台にたむろするおじさんの姿がないので、広々と感じてしまう。ここで「伊丹十三の本」(新潮社)を見つける。新刊で買うつもりだったので、しめしめとレジへ。
続いて東京堂に行く。サイン本の棚から車谷長吉銭金について」(朝日文庫)を買う。坪内祐三さんが解説を書いていると聞いて興味がわいた。それから、東京堂ふくろう店で、念願の月の輪書林目録「田村義也の本」を入手。続いて神保町古書モール、タテキン、コミガレ、ブカキンを回るが何も買えず。途中覗いた三茶書房の店頭ワゴンに、程度のいい文庫がズラッと出ていた。内容もいい本ばかりなのだが、500円台であったので二の足を踏んでしまう。もし300円台だったら5冊は買っていたと思う。
共栄堂のスマトラカレーで昼食。キッチン南海と同じような真っ黒なルーであった。近くにパチンコ人生劇場があったので、明日の「東京スムース友の会」の会場の場所をチェックしておく。
それからいろいろ回って喫茶ぶらじるで休憩。『彷書月刊』の岡崎武志さん、南陀楼綾繁さん、グレゴリ青山さんの連載に目を通し、『未来』で再開された向井透史さんの「開店まで 早稲田古書店街外史」を読む。今回は三幸書房。話の展開の中でこれまでの連載で取り上げられていた店主の方たちが関わってくる。それぞれの物語を背負った人々が別の人の物語に脇役として登場するこのバルザックの「人間喜劇」方式がこれから多くなっていくのではないかと予想され、期待が膨らむ。
ぶらじるを出て、一誠堂の前を通ると店頭の均一台にちくま文庫などが大量に補充されている。その中から永井龍男「カレンダーの余白」(講談社文芸文庫)を拾う。
古書店街を歩いていると、向こうから大学時代の恩師が歩いてくるのに出会う。もう大学は定年されているのだが、週に一度、非常勤で教えにきているとのこと。お元気で安心する。それにしても、街で恩師に会うとなんだが遊んでいるところを見咎められたような気分になってどぎまぎしてしまう。
神保町歩きの〆は、日本特価書籍で。以前から買おうと思っていた石塚純一「金尾文淵堂をめぐる人びと」(新宿書房)を購入。ああ、今日も沢山買ってしまった。
帰りの車中は、山口昌男「『挫折』の昭和史(下)」(岩波現代文庫)を読む。やはり、満洲をめぐる人々は面白い。福田和也「地ひらく」(文春文庫)や角田房子「甘粕大尉」(ちくま文庫)を読んでみたくなる。
夕食は、友人に誘われていつもの料理屋へ。大根のきんぴらが旨い。あと地鶏ササミと長ネギのパスタなどいつ来てもいい仕事をしているなあと感心する。
金尾文淵堂をめぐる人びと