今日の音楽

  • Ann Sally「Brand-New Orleans」(VIDEOARTS MUSIC)

帰宅したらアマゾンから届いていたアン・サリーの新譜。
彼女が滞在していたニューオリンズのミュージシャンたちとの競演をセルフプロデュースしたもの。ジャズミュージシャンとの競演であるため、これまでで一番ジャズアルバムに近づいている。スタジオ録音であるが、全体的にライブ後のギグのようなリラックスしたユルいムードが漂う。その点これまでのアルバムのような端正さを求めると物足りなさが残るかもしれない。しかし、11曲目の「胸の振り子」(サトウ・ハチロー作詞・服部良一作曲)の素晴らしさに瑕瑾は全て払拭された。ピアノ伴奏のみで唄う声の艶と潤いに魅了される。その場所がニューオリンズではなく、戦前の上海辺りとしか思えなくなる。
今、神様の気まぐれで望みをひとつかなえてくれると言われたら、彼女に日本の古い歌だけを唄ってもらうライブを独り占めで味わいたいと申し出るだろう。「蘇州夜曲」、「星影の小径」だけでなく、浜口庫之介ナンバーなども聴いてみたい。
どちらにしてもこのアルバムを、「胸の振り子」を、何度となく繰り返し、聴くことになるだろう。

ブラン・ニュー・オリンズ(初回限定生産盤)