今日の音楽

一般には「サラ・ヴォーンウイズクリフォード・ブラウン」として知られているアルバム。
1曲目の「バートランドの子守唄」の名演で名高い。この曲もいいが、それよりもっといいのが2曲目「エイプリル・イン・パリ」。1コーラスをサラが歌って後、ポール・クイニィシェットのモコモコとした味のあるテナーサックスのソロが入り、それと入れ替わるようにブラウンのミュートトランペットが。ブラウンのミュートプレーというのは珍しい。最初はミュートを吹き飛ばしてしまうんではないかという大きな音で演奏しているが、段々と音量が落ち着いてくるとスルスルとメロディーが流れ出てくるようになる。この歌心がブラウンだ。その歌にサラの歌声がかぶり、今度はブラウンがサラに寄り添うように細かく、時には息長く素晴らしい演奏を繰り広げる。
春の気だるさをサラの歌が、その後ろからブラウンのトランペットが抑えきれない湧き立つ思いを伝えてくれる。

サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン+1