今日の音楽

ボサノバの世界では有名なシンガーのひとりであることは知っているのだが、CDを買うのは初めて。大学時代に後に能楽師となる友人が、アストラッド・ジルベルトなどを聴き出した僕に、ジョイスも聴いてみろとカセットテープを1本貸してくれた。「イパネマの娘」などのボサノバの名曲集といえるような内容であったと記憶する。なぜか一度聴いただけでそのテープはそこらに置かれたまま、友人に返されることもなく、現在も部屋のどこかに隠れているはずだ。
友人に対する借財を返済するような気持ちでジョイスのコンピレーションアルバムを聴く。14曲目の「ディサフィナード」に耳が反応する。曲のもつ魅力というものを考える。歌い手ではなく、曲へ意識が行ってしまうということについても考える。どうやら、友人への借りを返すには、もう少し時間を掛けて彼女の歌に馴染む必要があるようだ。