先日同様にタバコの出てくるジャケットということでインパルスのジョニー・ハートマンを探していて見つからず、代わりにこれを見つける。
- JOHN COLTRANE&JOHNNY HARTMAN(MCA/IMPULSE)
真面目なジャズファンの人には怒られるかもしれないが、インパルス時代の哲学者となったコルトレーンには興味がない。僕にとってのコルトレーンは、マイルス・クインテッドであり、「ブルートレーン」であり、「マイフェイバリットシングス」の彼なのである。よく分からない喩えかも知れないが、インパルスのトレーンの音楽は、理詰めで構築された密室殺人の本格派推理小説であり、このアルバムや「バラード」の音楽は、江戸情緒たっぷりの捕物帳のように思える。ハートマンの大袈裟ともとれるクールテナーは、リアルを追求する新劇ではなく、絢爛豪華な娯楽を求める歌舞伎のセリフ回しを聞いているようだ。大声でよく歌うトレーンのサックスも、何やら大音声で見栄を切っているみたい。音楽は楽しくなくてはいけません。
