今日の音楽

ジョン・ピザレリの歌を聴きながら、ハリー・コニック・ジュニアとの違いを考える。簡単に思い浮かぶのは、ジョンはスモールコンボの人で、ハリーはビッグバンドの人ということ。ジョンの楽器がギターでハリーがピアノということもあるのかもしれないが、2人の声や華のあり方の違いでもあると思う。声を張り上げるタイプではないジョン・ピザレリはピアノとベースとのトリオでナット・キング・コールの愛唱曲を歌う。15曲目の「LOVE」の出だしを聴くだけで、オーケストラをバックにも歌えるナットのような天井まで突き抜けていく“親不孝声”(by小林信彦氏)と彼が無縁であることがわかる。でも、それでいい。「モナリザ」を歌うポップなナットではなく、「アフター・ミッドナイト」のジャズをしているナットを目指せばいいのだ。
タバコのジャケットで思い出すのはこれ。有名曲の「ゴールデン・イヤリングス」よりも、クリフォード・ブラウンの「ダホード」で小気味よいピアノを弾いているブライアントの方が気に入っている。

   Complete After Midnight Sessions           レイ・ブライアント・トリオ