今日の音楽

男性ジャズシンガーと言えば、やはりチェット・ベーカーは落とせない。

学生時代に毎日のように通った新宿の紀伊国屋近くにあった「リフレイン」というジャズ喫茶。ライトなジャズファンである僕にとってとても居易く、店員の人たちの心遣いも心地よい場所であった。その店でこのアルバムを一度リクエストしたことがある。すると、次に店へ行った時、そっとこのアルバムをかけてくれるような気遣いをしてくれる店であった。残念ながら今その店はない。
アルバムの最後に入っている「I REMEMBER YOU」のスローで始まりアップテンポに変わっていくところが好きだ。アップテンポになってもやる気というものを感じさせないチェット。間奏で吹くトランペットの力の入らなさがいい。この抜け加減があの頃の自分のやるせなさと重なってくる。このアルバムを聴くたびあの店を思い出す。

チェット・ベイカー・シングス&プレイズ