今日の音楽

先日地味なアイク・ケベックを聴いたので、この1枚を思い出した。

ソニー・クラーク最後のリーダーアルバム。2曲目のみにケベックが参加している。日本で有名なクラークも本国ではほとんど無名であった。その地味でマイナーな2人の共演。曲は「DEEP IN A DREAM」。情緒連綿たるバラード演奏。一歩間違えれば中年親父の歌う「マイ・ウエイ」の自己陶酔になりかねない手前で踏みとどまっている。それは、クラークとケベックにムードに浸りきれない醒めた一面があるからではないか。このアルバムの後、ほどなくしてクラークは麻薬中毒がこうじて死亡。時をおかずケベックもこの世を去ってしまう。それを知っているせいか、情感あふれる演奏であるのに不思議な寂しさがある。アルバムジャケットもこのレーベルとは思えないほどの雑ともいえる素っ気なさ。ジャケットのクラークも遺影のようだ。このマイナーの極み。忘れがたい。
リーピン・アンド・ローピン