フグ雑炊だけのコースが欲しい。

昨日の話。

昨日は、午後から出張したのだが、思いのほか用事が早く済んでしまった。職場に戻る必要はなく、夕方から川崎で行われる職場の飲み会に参加すればよいという状態であったので、もっけの幸いと川崎に早目に乗り込み久し振りに近代書房を覗こうと考えた。
川崎駅のエスカレーターを降りていると正面の川崎BEの窓に古本の棚が見えるではないか。そうだ、ここで古本市をやっていたのだと思い出し、一目散にそちらへ向かう。ここの古本市に来たのは初めて。思ったよりも規模が小さい。それでも本の傾向は自分好みのものが多かったので楽しく見ていると、そこに知り合いが。仕事もしないでこんな時間から古本の棚に首を突っ込んでいると思われそうなので(実際ほとんどその通りなのだが)、事情を一生懸命説明してしまう自分の小心さがちょっと悲しい。それでペースが乱れたのか買えたのは1冊だけ。

こんな本が出ていたなんて知らなかった。1999年の本。レジへ持っていくと、係の男性に見覚えがあるような気がする。「駆け出しネット古書店日記」(晶文社)の著者で、文雅新泉堂の店主である野崎正幸さんではないか。そういえば文雅新泉堂の棚があった。声を掛ける勇気もなく、本とおつりを受け取ってその場を立ち去る。

近代書房へ向かう。店の表面に取り付けられて100円均一棚は量が多く、けっこう掘り出し物がありそうな雰囲気をかもしている。とりあえず1冊拾う。

「新・読前読後」で取り上げている山藤章二挿画本のシリーズを面白く読んでいるので、見つけるとつい買ってしまう。
店内に入ると、天井近くまである棚に本がびっしり。いいですねこの感じが。中公文庫の棚に目をやる。

  • 野村無名庵「落語通談」(中公文庫)

ちょっと汚れているが、100円なら安い。買いです。その後、近代文学や出版、古本に関する棚を眺める。この店はその関係が充実しているのがいい。そこから1冊。

この本は、新刊で欲しいと思いつつ買い逃し、そのうち文庫になるだろうと待っていた作品。なかなか文庫にならないので安ければ単行本でと思っていたのだが、ちょうどいいところで出会った。500円。

まだ、飲み会まで時間があるので、駅前のブックオフへ。めぼしいものが見つからないうちにそろそろ開宴の時間が。最後に流した文庫の105円棚で、真新しい1冊を見つける。

先日、同じ老夫婦ものの「せきれい」(文春文庫)を買っていたので、このシリーズを文庫で集めようと探していたのだ。テーブルクロスの柄にしたらよさそうな表紙の絵もいい。早速買って飲み会会場へ。

この日は年に一度だけふぐ料理を食べる会。フグチリやてんぷらなどが出るが、実は骨ばっている魚が苦手なので、あまり美味しいと思わない(罰当たりですね)。思わず「最初から最後までフグチリ鍋の雑炊だけが出続けるコースはないのか」と口走り、周囲の顰蹙を買う。でも、やっぱり雑炊は旨かった。