義理の花

今日は、バレンタインデイ。
比較的女性の多い職場なので、あちらこちらの机の上に義理の花が咲いている。
我が机にも、花びらが数枚。たとえ義理でも花は目に美しく、口に甘し。

仕事あがりが遅かったのだが、それでも書店をさっと流す。

昨日我慢したはずの藤田嗣治本を今日はもう買ってしまっている。それほど売れるとは思われないこの本が最後の1冊となっており、今買わないと誰かに買われてしまうと思ってつい手が出るのだ。それにしても、画家の文業に興味を持つようになるなんて、これも洲之内徹さんの本の影響だな。昨年出たミニコミ誌『BOOKISH』第8号が「特集 画家のポルトレ」と銘うっているのを見ても、画家の文業に関心が高まりつつあるようだ。しかし、こういった本はすぐに品切れになるから、興味のある方はお早めにどうぞ。

『ウフ.』はマガジンハウスのPR誌。無料で貰ったもの。バスを待つ時間にページを繰る。翻訳家の鴻巣友希子さんが「孕むことば」というエッセイを連載している。一昨年の夏、仕事で行った山形県蔵王坊平高原のロッジで、鴻巣さんが訳した「嵐が丘」(新潮文庫)を読み、この古典的名作の面白さに初めて接すると同時に自分と同年代の翻訳家の活躍に好感を持った。このエッセイで、鴻巣さんは「嵐が丘」の翻訳を産み出すことと自分の子どもを持つということをパラレルに見る視点から語っている。「嵐が丘」の翻訳を頼まれた時、子どもを産めなくなるということを考えたというのが印象的。それぐらいこの翻訳に時間と人生を賭けようとしたわけだ。柳瀬尚紀さんや柴田元幸さんといった翻訳家のエッセイを読むのが大好きな人間なので、鴻巣さんのエッセイ集「翻訳のココロ」(ポプラ社)も読みたくなった。