みんなで本を買いましょう。

本日の土曜日は久しぶりの半ドン。それも、田園都市線沿線での仕事であったため、神保町まで一直線だ。

ということで、2時過ぎには半蔵門線神保町駅を出てすずらん通りを歩いているという仕儀となった。
いつものルートで初めに書肆アクセスへ。魅力あるミニコミや小出版社の本を購入するのにここ以上の場所はないという書店。

  • 『サンパン』第?期第9号
  • 林哲夫「古本屋を怒らせる方法」(すむーす堂P−BOOK01)
  • 林哲夫「さらば、父たち」      (すむーす堂P−BOOK02)
  • 林忘茶庵「句集書影」       (すむーす堂P−BOOK03)

まず、これらが目に入る。『サンパン』購入が来店の目的であったので、所期の目的を果たす。下の3つは林氏のweb日記「dailysumus」や向井透史氏の「店番日記」でその存在を知ってはいたが、実物を初めて見た。その趣味のよいチープさを纏った姿に迷わず手が出た。すると、これらが並んでいた平台にこんなものが。

地味ながら味わいある装幀がグッと来るところに、著者サイン本とくればこちらもゲット。石田千さんの前著「月と菓子パン」(なんてセンスのいい題名だろう)も持っており、最近注目の書き手のひとり。とはいえ、実はこれまで石田さんの文章をあまりちゃんとは読んでいないのだ。第1回古本小説大賞受賞者(『彷書月刊』主催)で、嵐山光三郎事務所勤務というプロフィールを聞いただけで、すぐに好きになった。「読まずにホメる」ではなく、「読まずに愛読者となる」パターンである。そのうちまとめて読むつもり。

以上の収穫物を抱えてレジに行く。もしやと思って「濱田研吾さんの『脇役本』はありますか?」と聞いてみる。すると「あります」という返事が。限定100冊の私家版とも言えるこの本がすでに売切れてしまったと書肆アクセスのブログに書いてあったので、入手は半分諦めていたのだが、この幸運。もちろん、いただきました。

最初の店でこれだけ買ってしまうと、今日はとんでもないことになってしまう予感が。しかし、先日来のストレスが僕に「買って、買って、買いまくれ!」と檄を飛ばしている。心の声に対して素直なところが自分の長所(短所?)なのだから、悩まず先に進む。

そうだ、今日は古書会館で「愛書展」が開催されているはずだと、地下の展示即売会会場へ。一通り棚を眺めてみたのだが、買えるものがなく手ぶらで会場を後にする。古本屋街へ戻り、三茶書房へ。この店では一番書泉ブックマート寄りのドアを入って正面の棚と右の棚を主戦場としている。正面の棚に目がとまる。

以前に新刊で買い逃していたもの。「編集者の回想録にはずれなし」を信望する者としては見逃せない1冊。美本なのもうれしい。
その後、八木書店田村書店の店頭などを覗いてから、コミガレ(by岡崎武志氏)こと小宮山書店のガレージセールへ。このコミガレは以前に坪内祐三さんを目撃したり、収集している佐野繁次郎装幀本を何冊もひろったりしているゲンのいい場所。ただし、あたりはずれが激しい場所でもある。今日はあたりの方。3冊500円で以下の本を。

小林本はダブリなのだが、この人の本は何冊あったっていい。先日南陀楼綾繁氏がブログで小林氏の読書エッセイのデータベースを誰か作ってくれないかと言っていたことを思い出し、仕事をクビにでもなったら、暇つぶしにやってみるかなどと思う。

コミガレの隣りにある「ぶらじる」でひと休み。ここのケーキはどれも美味しいので、珈琲を飲みに入りながら結局ケーキセットにしてしまう。先ほど買った『サンパン』から向井氏の「早稲田古本屋 店番日記」を読む。相変わらずウマイなあ、と感心する。ブログの方の「店番日記」も毎日楽しみにしている。『未来』で再開される予定の早稲田の古本屋への聞き書きなども含め、どこかで早く本にしてくれないかな。絶対買うから。

神保町の交差点を渡り、信山社へ。『みすず』1・2月合併号を購入。これは「読書アンケート特集号」である。約150人が昨年読んで印象に残った本について語っており、字数もこの手のアンケートとしては多目であるため読みでがある。読書アンケート好きの僕にはたまらない1冊。

神保町の締めは、日本特価書籍。ここで買うために先送りにしていた文庫やムックなどを数冊購入。気がつけば、ショルダーバックはパンパンだし、手には紙袋を提げている始末。今日は一体いくら使ったんだろう。怖くて計算できない。
しかし、自分の人生の多くの部分を支えてくれている出版文化や書店(新刊・古本)を救うには、本を買うしかないのだ。本好きを自認する皆さん、本を買いましょう。そうして皆で出版社や本屋を育んでいきましょう。
これも、経済観念のない自分に対する言い訳なんだろうな、きっと。