珈琲と紅茶

昨夜は、突然の電話で夜の10時に職場へ行くことに。結局なんの成果もなく12時近くに帰宅。風邪の初期症状が見られるので風邪薬を飲んで早めに寝ようと思っていたのだが果たせず。おかげで今日も体調がすぐれない。

昨日の買った本を記録しておく。

  • 伊藤整「女性に関する十二章」(中公文庫)
  • 小谷野敦「すばらしき愚民社会」(新潮社)

伊藤整本は中公文庫の『幻の限定復刊』の1冊。花森安治の装幀がすばらしいが200ページほどの文庫で1286円+税は割高感が強いのではないか。以前も同じシリーズの柳宗悦「蒐集物語」を値段も見ずにレジに持っていったら1500円と言われてびっくりした。ちょっと文庫としては逡巡する値段ではないかな。旧版そのままではなく、改版して文字も大きくし、新しい解説をつけるなどの努力をしている上に、部数が少ないのだから仕方がないのは分かるのだが、もう少し手頃にならないものかと思うのが正直なところ。
小谷野敦氏の最新単行本の値段は1300円。雑誌『考える人』に連載していたエッセイ「大衆社会を裏返す」に加筆をしてまとめたもの。連載時に一通り目を通していたので、買い控えていたのだが、文庫本1冊とほぼ同じ値段だと考えると気軽に買えてしまう。なんだが自分で自分をだましているような気もしないではないが。真面目な理由としては、先日読んだ氏の「『禁煙ファシズム』は怖いぞ」(『文藝春秋』2月号)でこの本に触れていたので、もう一度読み直してみたいと考えたのだ。《大幅加筆》と言う言葉もポイント。この言葉一つで何度財布の紐をゆるめたことか。まるで「あなただけよ」と潤んだ黒目勝ちの瞳(白目勝ちじゃあ何んにも見えないby志ん生)で見つめられた中年男の心境である。

今日は雑誌を1冊。

  • 『東京人』3月号

特集は「鉄道を見る!」、小特集が「文士と喫茶店」である。「鉄道を見る!」では酒井順子さんが南千住を歩いている。貨物隅田川駅の写真が出てくるが、この場所が自分の東京の原風景ともいえる場所。東武線沿線で生まれ育ったので、相互乗り入れの日比谷線に乗り換えて北千住を出発し、高架を走る地下鉄の窓外、眼下に見えてくる引込み線が扇の骨の様に広がっている光景は東京の凄さとして子供心に刻まれてしまったのだ。「文士と喫茶店」に出てくる店で行ったことがあるのは向田邦子が通った大坊珈琲店池波正太郎行きつけの資生堂パーラー。行ってみたいのは堀江敏幸さんが愛するカフェ・トロワ・シャンブル。ああ、美味しい珈琲が飲みたくなった。