キッチリ買いましょう。

 今日も職場イベントの関係で屋内仕事がなく休み。


 TBSラジオ荻上チキsession22」の“球春到来!あの投手の、あの魔球がスゴい!”をラジオクラウドで聴きながら朝風呂。その後、トーストにチーズ、ハム、ポテトサラダ、コールスローなどをあれこれのせて食べる。普段炭水化物を少なめにした食事をしているので、休日の朝だけは8枚切りを4枚バッチリ食べる。以前は6枚切りを3枚だったが、最近は8枚切りくらいの厚さが好ましい。


 昼前に家を出る。仕事の関係で本を新刊で2万円ほど購入しなければならない。それと先週神保町で見つけられなかったオスカー・ピーターソンキャノンボール・アダレイのレコードも手に入れたい。となると有隣堂本店とdiskunion横浜関内ジャズ館のあるみなとみらい線馬車道駅が行くべき場所となる。


 携帯本をどうしようかと積読の山を探していて手に取ったのはこれ。


死してなお踊れ: 一遍上人伝


 この人の本は、すでに「村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝」(岩波書店)を読んでいる。その時、文章(語り口)の持つ、独特のグルーヴ感とでもいうべきものに当てられた感じを抱いた。この本でもそれは変わっていない。《わたしはセックスが好きだ。》で始まる“はじめに”からそれはグイグイと迫ってくる。漢字をあまり使わず、ひらがなの多い文章も軽快なリズムとよくマッチしている。一遍上人の祖父が壇ノ浦で平家と戦った伊予水軍の武将・河野通信であると知った。大河ドラマ平清盛」を観直したくなる。視聴率の良くなかったこの作品は「真田丸」以外で僕が最初から最後まで観た数少ない大河ドラマの1つなのだ。それに最近楽しみに観ているTBSドラマ「アンナチュラル」の主要キャスト2人が崇徳上皇平重盛として出演していたのだった。それももう一度確認したい。



 馬車道駅に到着。地上に出ると陽射しは春めき、暖かい。歩いて有隣堂本店へ。以前は全階本屋だったと思うのだが、現在は途中の2フロアが文房具売場になっていた(確か文具売場は別の建物にあったはずだ)。横浜を代表する書店の規模縮小は少し寂しい感じがする。仕事の担当部署の図書購入予算が未使用のままとなっていることとその請求期限がすぐそこに来ていることを知り、休日返上で図書購入に来たと言うわけだ。こんな休日返上なら正直毎週でも構わない。それに仕事に資する図書なら構わないので、選書はこちらに任されている。店内をあちこち歩き、辞書・事典類3冊と文庫本を10冊以上購入。ちょうどとはいかないがほぼ予算額の買い物をする。


 せっかくなので自分の買い物もする。


すばる2018年3月号
本の雑誌417号2018年3月号



 『すばる』は通常地元書店に並ぶはずなのだが、『新潮』、『群像』、『文學界』の3月号しか置いていなかった。今月は読みたい作品が掲載されているので、ここで購入。『本の雑誌』は毎月買っている。



 diskunionへ。キャノンボール・アダレイはなく、オスカー・ピーターソンはあったが状態が悪いので見送る。ともにジャズレコードとしては定番中の定番なのだが不思議と探すと思ったようには手に入らないものだな。もちろん、手ぶらで帰る気はない。

  • JOHNNY SMITH「In a Sentimental Mood」(ROOST)
  • JACKIE McLEAN WITH THE GREAT JAZZ TRIO「NEW WIEN IN OLD BOTTLES」(EAST WIND)
  • HOWARD RUMSEY'S LIGHTHOUSE ALL-STARS「Oboe/Flute」l(contemporary)


ニュー・ワイン・イン・オールド・ボトルズ
ASIN:B000000Y8X


 ジョニー・スミスは完全にジャケ買いジャッキー・マクリーンソニー・クラークはマイ・アイドル。
ハワード・ラムゼイ盤では4曲でソニー・クラークがピアノを弾いている。




 遅めの昼食をとりに馬車道十番館へ。1階の喫茶コーナーでハッシュドビーフライスを食べる。横浜の洋食の老舗らしく客の年齢層は高い。給仕係もこちらより随分と年上の男性。この落ち着いた雰囲気も悪くない。『すばる』の野崎歓堀江敏幸対談(井伏鱒二特集)や『本の雑誌』の笈入建志(往来堂書店)・田中淳一郎(恭文堂書店)対談などをつまみ読み。窓から明るい陽光が射し込んでくる。穏やかな休日でよかった。




 帰宅して『すばる』から木村紅美「羽衣子」を読む。芥川賞候補になった「雪子さんの足音」もそうだったが、普通の生活をしている普通の人間のもつ歪みのようなもの、狂気と言い切ってしまうには少し足りないその微妙な歪みの感覚が見事。振り切るのは簡単だが、振り切る手前ですっと止めるのは難しい。その難しいことをうまくやっている感じと言えばいいのだろうか。不思議な読後感を与えてくれる作品だった。



雪子さんの足音



 明日も朝早くからイベントの道案内の仕事があるので、早く寝よう。最近の枕本(寝る前に1編ずつ読む本)はこの2冊。


 ともに短い文章なのだが、前者は味わいが濃いし、後者は知らない短編が多いので読みでがあるため後を引かない。それも枕本の条件として大事なことだと思う。


坂を見あげて (単行本)
一度は読んでおきたい現代の名短篇 (小学館新書)