体と心は野菜を求めている。

 3泊4日の職場泊まり込みから今日解放される。


 そんなにきつい仕事ではないのだが、プライベートな時間をほとんど持てない数日間は寝不足とともにけっこうこたえた。食事に関しても自由にならず、ほか弁を中心とした揚げ物・肉類のオンパレードで野菜や繊維質の欠乏は明らかな食生活を余儀なくされる。仕事の合間に近くのコンビニで野菜ジュースやこんにゃくゼリーを買い込んで補う日々を過ごした。


 今朝、泊まり込みからは自由になったが、野外仕事があるため家には帰れず、職場から野外の現場へと行く。その途中、バスに乗るために横断歩道を渡ろうとしたところ寝不足と疲労で周囲が見えておらず、渡る寸前に右から来た車にやっと気付き、慌てて後に飛んで車をやり過ごすことに成功する。危ないところだったとほっとして横断したところに、過ぎていった車とすれ違い様に左から来た車を見落とし、こんどは接触してしまう。車体の右側面と僕の体の左側面がぶつかる。車が急停車してくれたので、左腕をドアミラーにぶつけ、左足の指先を前輪に踏まれただけですんだ。気づくのがもっと遅く、車のスピードがもっと速かったら、腕か脚の1本くらい骨折していたはずである。運良く腕と指先の打撲のみ。そのまま現場へ向かう。


 午後3時過ぎ野外仕事終了。地元駅に戻り、3日ぶりに本屋へ。

野菜讃歌 (講談社文芸文庫)

野菜讃歌 (講談社文芸文庫)

文士料理入門

文士料理入門


 「野菜讃歌」は1月の新刊なのだが、発売日にこの店では既に売れてしまっていて手に入らなかった。その後神保町へ出た際に東京堂でも探してみたがこちらも売れてしまっていた。奥付を見ると3刷とある。増刷に伴って追加入荷したものと知る。著者の死から数ヶ月後に出たという時期もよかったのだろう売れていて何よりである。探していた本が手に入ったのでうれしい。体が野菜を欲していた日に巡り会ったというのもまた面白い。


 「文士料理入門」は出ていたのは知っていたのだがこれも本屋でうまく出会えなかった。それというのもいつも僕が辿る店内ルートの中に料理本のコーナーが入っていなかったためで、最初から料理本の棚に行けばすぐに会えたはずであった。


 CDショップではこれを。

音楽堂

音楽堂

 これも地元のこのショップでなかなか出会えなかった。この店に寄る度に矢野顕子の棚を覗いていたのだがいつもハズレが続いていたのだ。今日ひょっこり猫が空を飛ぶジャケットを発見した。
 スタンプカードを利用し、2000円引きで購入。



 午後4時に入ったそば屋で遅い昼食をとってから帰宅。

 音楽堂を聴いたり、「野菜讃歌」から佐伯一麦さんの解説を読んだり、「文士料理入門」を眺めたり。

 後者の料理の写真がいいのは本の性質上当然と言えば当然なのだが、間に挟まれる文士の写真もいい。銀座のバア「ルパン」での太宰治坂口安吾など見たことのある有名な写真が多いとはいっても、やっぱりみな雰囲気があっていいな。特に和服姿の宇野千代が花を前において壁にもたれてアゴをあげ気味にこちらの見ている写真は何度見てもゾクッとする。こんな人が近くにいたら危なくてしょうがなかっただろう。