債権としてのズボン。

 朝、駅までのバスで前の席に座った人が本を読みながら太いピンクのマーカーペンで豪快に線を引きまくっているのが気になりつい見てしまう。ページのレイアウトからみるとHOW TO本(生き方系)らしい。“悔いのない死より、悔いのある生を選べ”というような小見出しが目に入る。そのページの3分の1がピンクに染まっていた。



 今日も早く帰ろうと思っていたのに気がつくと7時。ネームランドで作った札を備品にペタペタと張り続けるような地味な作業が今日の最後の仕事であった。


 8時閉店のクリーニング屋に間に合うように本屋にも寄らずバスに乗る。いつものバス停で降りると8時10分前。ところが店のシャッターは閉まったまま。そういえば、昨日のこの時間も閉まっていたことを思い出す。臨時休業がと思うが張り紙は一切なし。それとも知らない間に閉店時間が変更になったのか。最悪廃業ということも考えられるが、まだ受け取っていない衣類があるんだからそれは困る。もしそうなったら、僕は債権者としてズボンを取りたてなければならないのか。

 これなら本屋に寄って帰るんだったと思いながら帰宅。


 ネットで5月の新刊文庫のリストを見る。


 以下の本が気になった。


 黒岩さん、初の文庫化だ。講談社文芸文庫はいつもながら渋い。野口冨士男本が気になる。京須さんの志ん朝本はオリジナルか改題か。「落葉籠」は5月にずれ込んだらしい。


 このほか複数の文庫で太宰治作品を出しているのが目につく。あと単行本を持っているので上記からは外したが、文春文庫で米原万里さんの「打ちのめされるようなすごい本」が出る。もう文庫になるのかという思いと、そこそこ厚い文庫になるんじゃないかという思いが浮かぶ。