あをによし、鹿と牛乳。


 仕事を終えて8時半に職場を出る。


 本屋へ。新潮文庫の復刊からこれを選ぶ。

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 南伸坊さん装丁のカバーがいい。



 そのほかに雑誌棚をのぞいていてこれを見つける。

  • 『Lmagazine』6月号



 特集“かわいい奈良。”。ならまちの写真を見ていると無性に行きたくなる。表紙や中の特集ページに小さな鹿の置物がアクセントとして使われている。愛くるしい仔鹿なのだが、もし剥製だとするとちょっと不気味。



 金原亭馬生「二番煎じ」を聴きながらバスで帰る。


 帰宅して『Lmagazine』をぺらぺらと眺める。きたまちにある古い民家を利用した店の窓下にかかっている白い牛乳瓶入れとそこに書かれている“中野牛乳”という文字の雰囲気に見とれてしまう。何の根拠も無いが奈良の牛乳はおいしそうな気がする。
 山本善行さんの「天声善語」は、奈良の古本屋を訪れた話から、志賀直哉が自ら設計したという奈良の志賀邸の話題へ。その家を訪れた作家の一人に兵本善矩という名前が挙げられている。初めて聞く名前だ、昭和10年前後に小説を発表していたのだが、不遇だったとのこと。その作家が自分の作品を諳んじているというのもなにやら寂しげな感じを受けるが、それを数時間も聞いている保田與重郎の姿にもなにやら尋常ならざるものを感じてしまう。